【実.況.者.】甘くて苦いひとときを【短.編.集.】 (ページ35)

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□一目散に駆け出して　rtrt ページ35

「Aちゃんはさ、いないの

好きな人」

『………いないですよ』

口を開いて何を言うかと思えばそんなこと

『そういうレトさんこそいないんですか？』

「…んー、いるけど…さ」

…意外だ。

「ずっと好きなんやけどなぁ…」

『告白しないんですか？』

「………できないんよなぁ」

『ヘタレですね、レトさんは』

私は溜め息混じりにそう告げる

「………だって、彼氏おんねんな。その子」

レトさんはどこか悲しげな表情を浮かべた

『だったら

レトさんはサッカーのゴールにゴールキーパが
いたら、ボール…打たないんですか？』

「…………打つよ」

『……それと同じなんですよ』

「っ、、そうやなぁ、ありがとう」

レトさんはそう言うと一目散に駆け出して行った

『…………これでよかったんだよね』

レトさん、ごめんね

私、嘘ついた

ホントは好きな人

いるんだよ…？

ｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰ

「おい、聞いたか。レトルト振られたんだって」

「そりゃ、告った相手は彼氏持ちだぜ」

「振られるって分かってんのに…ばかだなぁ」

あれから数日後、噂で聞いた通りレトさんは振られたらしい

『……頑張ったね、レトさん』

……きっと次は

私が頑張る番。

ふわりと風がふく

私は見覚えのある影を見つけると

『……っ、、レトさん！！！』

一目散に駆け出した

この恋、うまくいきますようにー。