初めて知った、家族というもの。弐

歌 ページ47

※｢人間｣を｢ひと｣と読んでください。

----------------------------------------------------------


Aが、

柔らかく、透き通った、優しい声で歌い出す。

その歌声が、シャンクスの部屋に心地よく響く。


..." 儚く美しき人間 "

" 短き生 脅かす鬼 "

" 被害無き人 知らぬ "

" 被害ある人 その恐ろしきを知りぬ "

" 憎き鬼 "

" 罪なき人 殺しゆく "


" 儚くも美しいのは "

" 人が人であるから "

" 人として世に生まれ落ち "

" 人として死にゆく "

" 百年程の人生を "

" 強く "

" 強く "

" 我武者羅に生き抜く "

" 人は誰しも "

" 迷い 繰り返し "

" 学びを重ね生きる "

" ｢今日｣という日を慈しむ "

" 美しき華 "


..." 憎き鬼 "

" 罪なき人を "

" 殺し "

" 喰ろふ "

" 日の光を浴びれば "

" 灰となり跡形もなく散りゆく "

" 日輪刀で首を撥ねてもまた "

" 灰となりて跡形もなく散りゆく "


" 憎くとも "

" 哀しい "

" 哀しい鬼 "

" 人間だった 鬼 "

" 叶うのならば "

" 来世は "

" どうか "

" どうか産まれたまま人間として "

" 幸せに暮らし "

" 幸せなまま "

" 人間として死んでおくれ "


" その時は "

" きっと "

" きっと "

" 強くなった私が護るから "


" 強き者は "

" 弱き者を "

" 大切な者を "

" 護るために "

" ある者だから "


" 護るためにまた強くなるから "

" 生まれ変われたら "

" どうか "

" どうか "

" 人間として "

" 幸せになってね "


歌い終えて始めて、Aは自分の頬に涙が伝っているのに気づいた。

ロジャーも涙を流し

シャンクスも目を閉じたまま、涙を流す。

Aは、頭を撫でている手を離し、シャンクスの涙を指で拭う。

そしてまた、サラリと頭を撫でだした。




『．．．ロジャー。』

ロ｢なんだ？｣

『レイリーとは、話さなくていいの？』

ロジャーと… 拾→←ロジャーと… 玖

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す