死霊捜査官【d!】 (ページ36)

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Gaudete! ページ36

◾︎番外編

闇の中を光もなく歩いていく。

ただひたすらに、棒のような足を機械のように動かして進む。しかし、いつまで経っても先は見えない。私は、いつまで経ってもこの闇から脱することなく、ただ神の怒りのままに闇の中に住まわされている。多くの死者と共に。

何も見えない私の鼻腔をくすぐるものがあった。ミルラ、アロエ、シナモン。喜びの油が私を飲み込む。そして、あるべき場へと引きずり込んでいく。

「起きてください、師匠。」
「……ん、あぁ。おはよう、チーノ。」

肩を揺すられて私は目覚める。どうやら長い眠りに落ちていたようだ。ソファーをひとりで占領して、ぱちぱちと爆ぜる薪の音を聞いていた筈だが、気づいた時にはぐっすりと。今日はXmasなのだからパーティーをしようと言ったのは私だったが、起こしても起きなかったからと助手は勝手に準備を
進めていてくれた。

「いい香りだね。さすがトントン、分かってる。」
「そうですね〜あ、ミルクは入れますか？」
「お願いするよ。」

卓上にはシュトーレン、サラダにスープ、チキンといった品々が置かれてある。ティーポットには、先日トントンから貰った紅茶がぽかぽかと過ごしている。ふわりと香るのはシナモンだろうか、先程感じたのはこれだったのだろう。

「はやく食べましょう！」
「そうだね。せっかく用意してくれた料理が冷めてしまう。」

卓について祈りを捧げる。そして、たわいもない話をしながら食事をする。彼と出会ってからこういう時間が増えた。これまで、本当に長い間一人だったから、何も感じることなくただ日々を消化していた。ここ最近はすっかり様変わりしたように思う。

食事が済んで、暖炉の前でラヂオに耳を傾けていると、子どもたちがプレゼントにあれをもらったこれをもらったという歓喜の声が聞こえてくる。そういえば、私も彼にプレゼントを用意していたなと思い出して、隠していたそれをソファーでぼーっとしている彼にぽんと投げ渡した

「これは私からだ、安物だがね。」
「いいんですか！？ありがとうございます。わーっ手袋だぁ！」

はじめて、プレゼントを渡した訳ではないが、いつも彼は無邪気に喜ぶ。こういうのは子どもらしくて可愛い。