死霊捜査官【d!】 (ページ4)

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．行く列車ページ4

蒸気機関車に揺られ、かれこれ二時間が経つ。首都から東ルディーヨは少し離れており、既に駅で買った珈琲は飲み切ってしまったし今日の新聞も隅から隅まで読みつくしてしまった。暇を弄びながら車窓の風景をぼーっと眺めていると何処からか聞きなれたカーヌーンの音が弾みながら近づいてくる。

「師匠～聞き込みしてきました！」
「お疲れ、どうだった？」

　これ土産です、と言いながら彼はクッキーを手渡す。如何やら先ほど停車した駅でパパッと買ってきたようである。彼には時間の許す限り車内の人間に噂を聞いて来てほしいと頼ん出おいたのであるが、彼の表情を見たところ少しは何か得られた様である。

「確かに、東ルディーヨの精神病院に入院した人たちが連日の男女首無心中の犠牲となっていると周辺では噂になっているそうです。でも、病院側はその関与を認めていないようで…」
「病院自体の噂は何かあるか？」
「至って普通の精神病院だと皆口を揃えていました。ただ…」
「ただ？」

　意気揚々と流暢に述べていた口を閉じてしまい、先ほどまでの勢いは失速してしまう。何か言いにくい事でもあるのかと顔を覗けば少し驚いてそのマンダリンを見開かせる。そして再びその口を開いて続きを述べた。

「…俺が個人的に調べたところ、そこの治療方法は医学的でも、将又神の恩寵に基づいたものではないものだという話がありました。」
「それはつまり、何らかの異端的な方法を用いている可能性があるとでも？」
「うーん、詳しいことがわかんないんですよね～まぁ行ってみれば分かるんじゃないですか。」

　それもそうだな、と頷けばポーッという汽笛を上げて駅構内に停車する。焦ってクッキーの最後の一枚を雑に取ってしまったので彼はあぁっ…！と悲しそうな声を上げていたが無視をした。

荷物を手に取り、東ルディーヨへと私たちは降り立つ。此処が、死霊捜査官としての最初の任務地である。