死霊捜査官【d!】 (ページ24)

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．大型犬ページ24

「とっとと死にぞこないは引っ込んでもらえますかね！」
「あぁ？うるせぇなぁ。お前みたいな殺人鬼が告解せんとのうのうと過ごしてる方がよっぽどやろ。早く悔い改め(出頭し)やがれ。」
「俺は殺人鬼なんかやないわ！！」

　斧を振るうチーノをゾムは軽々と避け、隙間を縫って軽く蹴り上げる。軽くと言っても、力強い蹴りによってチーノの身体は宙に吹き飛んでしまう。ボーっとその様を眺めていると、ゾムは、「ちゃんと守ったるからな。」と私へと笑いかけた。その笑みが、とても懐かしくてたまらない。

　 ■

「(…Aちゃんの回復が阻害されてもうたな。最悪や、何処にいた？いや、もしかして、こいつの目的は端からあの子をリセットする為か？クソッ、狡い奴やわ。)」

　ネイビーブルーは、その瞳を閉じてかの死霊の足跡を辿る。死霊とは、その正体を摑む事が困難だ。拘束に関する恩寵を使ったとしても、上位の死霊には道端の石ころ程度となる。慎重に、その足取りを摑んで離さないように。

「見つけた。」

　チーノを軽々とあしらっていたその身体は、急に鉛をぶら下げたかのように鈍くなった。簡易的であるものの、その隙を縫ってチーノは斧を振り上げ、Aを摑んでいた腕ごと切り落とす。その拍子に、しっかりと抱えられていたAは落ちる。

「師匠！！」

　地面にぶつかる。その直前、チーノは滑り込んでAを抱え込んだ。自身の師の安否を確認すると、チーノはふぅと溜息をつく。そんな彼の事をAは依然として見知らぬ人のように眺めていた。そんなAの肩を摑んでグラグラと揺らしながらチーノは叫ぶ。

「師匠！！起きてください！！師匠ってば！！」
「………っ！あぁ、おはよう。今日もいい天気だね。」
「くっそ、テンプレ回答しやがっていつもいつも！！」

　チーノにもよくわからない。ただ、いつもこのように問えば、かの師匠はいつも通り目が覚めるのだ。ふわぁと呑気に欠伸をする姿につい殴りたくなる衝動が沸き起こるも、チーノはしっかりといつもの笑顔で隠す。

「チーノ、何人殺した？」
「えっ、えーっと…えへへ」
「血生臭い、離れろ。」
「ひどい！師匠のいない間大変だったんですからね！」
「離れろと言ってるんだが。」

　成人済みの大男に抱きしめられ、頭を擦りつけられる。全力でじゃれつく大型犬に為すがままの様なもので散々な寝起きだとAは感じた。
　