死霊捜査官【d!】 (ページ12)

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．真実に清くページ12

「M．ルティング……」

その名は聞いた記憶がある。
短い期間であったが教会の前で激しい抵抗運動があった、その筆頭がルティングであったということを。死霊の救済を前提とする秘跡庁のやり方が気に食わない、そんなグループだった気がする。あんな顔だっただろうか？いや、私よりも彼の方がまだ記憶力がいいことだろうし、あながち間違ってないだろう。

「まぁ、俺が知っとる言うたらそれくらいやけどな。」
「無能め」

キッと睨みつければひぃっ辛辣！と情けない声を上げて彼は縮こまった。まぁ、人間絡みの死霊事件なんて。どうせそんな所だろうと思っていたが。それにしても、もう少し何か情報を握って欲しかったものだ。

「どうせ、町娘にうつつを抜かしていたんだろう。」
「えっ？？？いや？？？」
「ざまぁないな。」
「いやちゃうんすよ！！女の子のお家に招待してもらって。それから……」

案の定と言ったところか、あのときミレーナに感じた違和感が確かめられていく。彼女はこの女誑しにまんまと引っかかったのだろう。それが功を奏したのか、いや彼女にとってはそうではないかも知れないが、婚約者の幼馴染だけがエデンへと連れていかれた。
そのとばっちりをネイビーブルーの彼は食らったのだろう。いやそもそも彼は院長先生にとって不都合な存在だった。消される理由はいくつも揃っている。だが、不思議なことに彼は五体満足らしい。

「はぁ……臭いものには蓋をする、か。」
「誰が臭いって？」

⬛︎

「ところで、Aちゃん。探しに来てくれたのは嬉しいんやけどこっからどうするつもりなん？」
「あぁ、どうしようか。私はただ(・・)死んだだけだからね、特に何も考えていないんだ。」
「えっ？ほんま何しに来たん？？」
「そっくりそのままお前にその言葉返すぞ。……保険が無いわけじゃない。」

周囲の死霊が口も無いのにどよめく。

死霊と言うべきか、ただのゴミ捨て場と言うべきか。彼らにとって、きっとこの場に意味は無いのだろう。地響きが聴こえる。時間もあまりない。ウツは私の作戦を耳にすると、少し目を見開きつつ、彼の抱く抵抗感を示したが渋々頷いた。頷かせた。