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参. 暖かい笑顔 ページ3









──────────ちりん




優しく鳴る、その音の方に顔を向ける。






そこには、小柄で愛らしい、少女が立っていた。


歳は、自分と同じくらいだろうか。








ふんふんと息を鳴らす。



それに気がついたその娘は、わっと驚いた後、焦るように言葉を零した。






「あ、えっと、大丈夫よ!
鬼狩り様は怖いけれど、助けない理由にはならないものね!あ、私は鬼だから信用出来ないかもしれないけれど、大丈夫よ!」






わたわたと、それでも慣れたように、自分の兄を手当してくれている彼女を見つめる。







「……これで、大丈夫なはず。
ごめんなさいね、大切な人なんでしょう?」






どうして謝るのだろう。兄を、助けてくれたのに。




お礼のつもりで、禰豆子はその娘の頭を撫でる。
警戒心なんて、そんなものはとっくに無かった。








驚いたようにぱちぱちと瞬きをしたその娘は、その後、ふふ、と笑いを零した。






「……あれ、貴方も鬼なのね?
でもでも、よく見たらそこの鬼狩り様と似た、綺麗に整った顔をしてるいるのね!兄妹なの?」






ふが!と鼻を鳴らして答える。


再びぱちぱちと瞬きをしたその娘は、今度は声を出して笑った。






「仲良しな兄妹なのね!羨ましいなぁ
もう時期夜が明けるからね、貴方も日の当たらない場所に行かなきゃだめよ」







そう言う彼女の手を引いて、禰豆子は少しだけ先の場所へと歩いていく。



え、えっと、お兄様はそのままでいいの?と聞く彼女に、ふんふん!と答える。








「……あ、お花?私にくれるの?」



「ふが!」






ぱあっと笑顔になる彼女に、嬉しくなる。


可愛いなぁ、この人はいい人だ。






歳はそう変わらないけど、それでも、まるで妹のような、優しくて、温かい人。







「ほら、こっちのお花は貴方にあげるね!
私のお花と、少しだけ色が違うのよ!」






色違いねと、そう言って笑う彼女は、まるで姉のようなおおらかさで。








禰豆子は、その娘が大好きになった。


出会ってまもない鬼の娘だけど、兄を助けてくれたこの人を、人を食わないこの人を。









崖の多いこの山には似合わない、少しの花が咲き誇るその場所で、二人の鬼の娘は笑いあっていた。









その様子を、目覚めた彼は静かに、微笑みながら見つめていた。







肆. 手を引いて→←弐. 鈴の音と共に



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くずを - 好きです!次の更新待ってます! (2020年1月11日 20時) (レス) id: f3d3ee67c0 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ちよこ | 作成日時:2019年8月29日 23時

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