【SERVAMP】吸血鬼の憩いの場 ４【女主】

176話 弾きたい時に弾けばいい ページ33

昔ー… お父さんがよく弾いてくれたピアノ…。今ではすっかり オブジェのようになってしまっていた…。



『…(弾きたい時に弾けばいい…心に思い浮かんだ"モノ"を音にのせろ…)』



よく そう言って、接客中に弾き始めたりしていたな…。



この人が そう願うのなら…




もう一度 このピアノが動き出せるのなら…





『…良いですよ、もちろん。』



微笑みながら そう返せば、その人は一瞬目を輝かせたかと思うと すぐに弾き始めた。




？｢……………。｣




『…(凄い集中力…)』




本当に ピアノが好きなんだな…、





伝わってくる音から そう感じた。







しばらく 聴き入っていると…いつの間にか演奏は終わっていて…、






？｢………いいピアノだな…。｣





『…え…？』




？｢……このピアノは良い持ち主に愛されている…。…弾かせてくれてありがとう。｣




『…あ…えっと……いえ…。』




何だか 気恥ずかしかった…けど、凄く嬉しかった。




『…あ…わ、私 作ってきますね…！！』



いけない…すっかり忘れてた…！！



急がないと…！






私は 慌てて厨房へとむかい なるべく はやく 丁寧に作り始める。




……………。



『お待たせしました…！どうぞ！』



？｢どもーｯス！｣



？｢…ん…。｣



品を運ぶと、二人とも嬉しそうな表情を見せてくれた。




私は 満ち足りた気分で先程帰られたお客さんの食器を片付け始める。





しばらくしてー…、




桜｢…Aー！買ってきたぞー！｣




桜哉くんが買い出しから帰ってきた時、二人が食べ終わり席を立ち上がった。




『ありがとう！厨房 置いといて下さい！


…ありがとうございました！』



？｢…美味かった…。｣



？｢中々 良かったｯスよ〜！｣



『…あ…ありがとうございます！そう言って頂けると とても嬉しいです！』




私は笑顔で 二人を見送る。








お父さん、お母さん…

今日も 素敵な出会いをしました…！





ー…また 会えるかな…。





『…(素敵なピアノ…また聴けたら良いな…)』

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