Kissを止めないで【ars S.O】 (ページ16)

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16.専売特許ページ16

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〈大野side〉

昼休み、なんだかムカムカして食欲がなかったけど、Aさんとずっと一緒ってのもしんどくて、1人で公園に来た。

甘い缶コーヒーを自販機で買って、ベンチに腰掛ける。

プルトップを引いて一口すすると、自然と大きなため息が出た。

その時、ポケットの中の携帯が震えて、画面に表示された名前を見るとニノだった。

大野「おう…」

二宮「どう？楽しくやってる？」

大野「あんま」

二宮「なに、わかりやすく落ち込んじゃって」

大野「まあね…」

二宮「女？」

女？

女のことで落ち込んでるって言うのか？これ。

いや、違うだろ！

大野「そんなんじゃねぇよ。社員のおねーさんに、アイドルめんどくせぇから関わりたくねぇみたいなこと言われて」

二宮「で、落ち込んでる…と」

大野「落ち込んじゃあいねぇけど、なんかモヤモヤする」

二宮「その人いくつ？」

大野「5つ上だから23か」

二宮「ふーん…大野さんらしくないじゃん」

大野「なにが」

二宮「年上の女なんて、これまで腐るほど抱いてきたでしょ」

大野「いや、だからそういうんじゃ…」

二宮「大野さん、自分じゃ気づいてないけど、その人のこと好きなんじゃないの」

大野「ばっ、いくらなんでも昨日会ったばっかだぜ？」

二宮「惚れっぽいのが、大野智の専売特許でしょ(笑)」

大野「へ？そなの？」

二宮「自分じゃ気づいてないとか、救いようないわ(笑)」

大野「わかったようなこと言いやがって…」

二宮「ふふっ、いいや。また連絡するよ。たまには事務所顔だしてやって。ジャニーさん寂しがってるからさ」

そう言って電話は切れた。

暗くなった画面をしばらく見つめていた。

ニノは確かに言った。

俺が…

Aさんを好き？

バカな。

これまで、気になる女がいれば一気に攻めて落として、飽きればまた次の女を抱いて、ってそうやって生きて来た。

だけど、Aさんに対する思いはそんなんじゃない。

あの人のことを考えると、どうにも胸の奥の方がモヤモヤするんだ。

これの正体が、好きってことなのか？

悩み過ぎたのか、頭がクラクラして来た。

フラフラしながら事務所に戻ると、ヨーコさんから

「あら！大野くん、顔が真っ赤」

って言われて、熱を測ると38℃だった。