46 ページ46
.
『……眠い』
今日は3連休明けの平日。
しかも夜中にあんな事があったから、なかなか寝付けなくて明らかに寝不足。
『おはようございます』
「おはよう」
『……お風呂、借りますね』
どんな顔をしていいか分からなくて、直ぐにお風呂に逃げた。
でも、お風呂から上がってメイクをして、出勤準備を終えたら手持ち無沙汰になる。
キッチンに立っている松倉さんと目を合わせないようにしていると
「Aちゃん、コーヒー飲むでしょ?」
『っ、はい』
声をかけられて、避けようがなくなる。
「意識しすぎ」
『……だって、意識しないわけないじゃないですか』
「ふふっ、そうだ。家ってどうなったの?」
『実は昨日良いところがあって、今審査の結果待ちです』
「……そっか、じゃあ昨日あげた鍵の出番もあと少しだけってとこかな」
『アレ、本当に頂いていいんですか?』
「うん、Aちゃんのために買ったんだし使ってよ。じゃないと俺泣くよ?」
『泣かれるのは嫌なので使います』
「そうしてくれると嬉しいな」
『ありがとうございます』
ふたりとも朝は早めに準備を終えるタイプで、並んでソファーに座ってコーヒーを飲む。
「あのさ、ずっと言おうと思ってたんだけど」
『はい』
「連絡先交換してもいい?」
『え?してませんでしたっけ』
「してなかったから、ここ何日かわざわざ鍵のためにお店来てくれてたでしょ」
『あ、そっか』
「Aちゃんってたまに抜けてるよね」
『抜けてるとか言ったら交換しません』
「ごめんごめん前言撤回!ほらこれ俺のQR!」
『……はい、登録しました。じゃあ今日帰る時間が分かったら念の為ご連絡しますね』
「ん、俺も連絡する」
『じゃあ、いってきます』
「いってらっしゃい」
松倉さんの家を出て職場に着くと、また鉢合わせる同期。
「おはよ」
『元太おはよ』
告白されたあと会うのはこれが初めてだから、気まずくなりそうですぐにエレベーターのボタンを押す。
「その後どう?家探ししてんでしょ?」
『いい物件みつけたから今審査結果待ち』
「そっかー。今はホテル暮らし?」
『ホテルではないけど、そんな感じかな』
「どこ?」
『え?』
「どこ泊まってんの?」
絶対に"行く"とか言ってくる。
もうその顔をしてる。
314人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:愛生 | 作成日時:2022年9月25日 18時