検索窓
今日:58 hit、昨日:97 hit、合計:50,818 hit

37 ページ37

.





「あのお客さんの仕業?」





"仕業"なんて言い方、変だよ。






『あの、』


「元カレなんでしょ、あいつ」





あまり聞かない怒ったような口調。


"あいつ"なんて言葉遣い。


急に人が変わったみたいで、少し怖い。





『あいつって……松倉さん、酔ってますか?』


「俺お酒強いよ」


『だったら尚更、』


「こんなの、見ちゃったら気にならない男なんていないよ」


『でも私の事なんて関係ないじゃないですか』


「あるよ」


『プライベートは干渉しないってルール、覚えてますか?』


「覚えてるけど、覚えてない」





痕をずっとなぞってくる指。





『ちょっ…、』


「ふっ、くすぐったい?」





笑ってない、ギラついた目。


動けずにかたまっていると、顔が近づいてきて首にうまる。





『ね、まって』


「……可愛くてムカつく」





痕がある場所に何度かチュッと音を立てて触れる唇。





『だめッ、』





同じ場所に痕を付けられた感覚。


やっと離れた松倉さんの表情を見ても、感情が読み取れない。





『松倉さん、』


「……より、戻すの?」


『え?』


「別れた女の子にこんなの付けたりリングあげるぐらい独占欲丸出しなんだから、あいつまだAちゃんのこと好きでしょ」


『……』


「やっぱりあのリング、返しなよ」


『え?さっきと言ってること……』


「気が変わった。気持ちないならあいつに返してきなよ」


『松倉さん、なんか変です』





言葉遣いが鋭くなったのに、腕を回して抱きしめてくる力は相変わらず優しい。





「……Aちゃん、ここに居ていいからね。てか、ここに居てよ」


『どうしてですか?』





まるで、嫉妬しているみたいな言動。





「あー、ねむい。おやすみ」


『無視しないでください』


「ほら、寝るよ。このままギュッてしてあげるから」


『ハグで誤魔化さないで』


「おやすみ」


『ねぇ、』


「……」





聞きたいことには答えてくれない。


やっぱり私の気持ちを弄んでいるだけ?


年上だから、年下をからかってやろうって、そういう考えなのかな。

38→←36



目次へ作品を作る
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (102 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
315人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:愛生 | 作成日時:2022年9月25日 18時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。