検索窓
今日:31 hit、昨日:30 hit、合計:50,884 hit

22 ページ22

.





『ん……』





目が覚めて、伸びをしようと身体を動かそうとすると、思うように動かない。


抱きしめられたまま寝ていたみたいだけど、しっかり足が私の身体を挟んでいる。


少し顔を上に向けると、思った以上に顔が近くて、もう少し動いたら松倉さんの唇がおでこに当たりそう。





『ま、松倉さん』


「ん……?あ、おはよ」


『あの、近い……です、』


「言ってきたのはAちゃんでしょ」


『えっと、熱ある時なんて正気じゃないっていうか、あの』


「まだ熱ある?顔赤い」


『……っ』





手で頬を撫でる。


やっぱり、メガネをかけていない松倉さんには慣れなくてドキドキする。





「んふっ」


『あ、の……』





言葉につまる私の顔に、あと数センチでくっつきそうなくらい近い距離。


息をするのを忘れる。


頬からスルスルと顎に手が移動して





「この前まで彼氏いたのにそんな反応なら、すぐ熱ぶり返しちゃいそうだね」





親指で私の唇を撫でたり、押したり、唇の少しの隙間に指を差し込んできたり。


そんなことしてきたらこっちは喋れるわけなくて、口を開かないように黙り込んだ。





「挟まれた」





唇の隙間に少し指が入ってきたタイミングで、それ以上開かれないように口を固く閉じると、松倉さんは楽しそうに笑う。


目で訴えても、ただただ優しく笑うだけ。




……この人、オネダリも上手だけど、きっとこういうことに慣れてる。


じゃないと、こんなことしない。




ずっと睨み続けていると、松倉さんは少し身体を起こして


私の耳元で、ふぅーっと息を吐いた。





『やっ、』


「……ほんと、心配になるくらい純粋無垢」





やっと身体が離れる。


それはそれで、隣から体温が無くなるのは寂しい。





『松倉さんのバカ』





そう言うと、また距離が縮まる。





「Aちゃんの反応が可愛いのが悪い」





距離は近いけど、キスはしない距離感。


余裕な素振りを見せてくるのが悔しい。

23→←21



目次へ作品を作る
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (102 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
315人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:愛生 | 作成日時:2022年9月25日 18時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。