54話 ページ11
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「おかあさん!リリア…!」
真っ赤に染まった血の海に、うつ伏せに倒れている母親
胸から鮮血を撒き散らしながら重力に添って倒れ込む妹
そして──ニヤリと口を吊り上げる、兄
彼の服に付いた大量の返り血が太陽によって、ぎらぎらと光る。
『───次はお前だ、サクヤ……!』
彼は右手に持った血で染めたような紅の刀をゆっくりと振り上げた
***
「──っ!?」
がばりと勢いよく起き上がる。
あれから一体何度見たのだろうか。もうずっと前の事の筈なのに、あの光景は今も生々しく目に焼き付いている。
無意識に額に手をやると汗で少し濡れていた。あの夢のせいで眠気はすっかり吹き飛び、もう寝る気もないのでシャワーを浴びにベットから出る。
隣の部屋を覗くとルナは布団の中で猫のように丸まって熟睡中だ。
実は、ルナが転校して来た時、校長に『サクヤ様と同じ部屋にさせてください!!!』と頼み込んだらしい。はっきり言ってちょっと五月蝿いが、これで【仕事】の時の会話も気軽に話す事が出来る。何よりも一番のメリットは、彼女はとてつもなく料理が上手い、ということだ。
ここに来てから市場と食堂の物しか食べていなかったため、彼女が食事を作ってくれることはこの上なく嬉しいことである。
「う、ぅうん……もふもふくまさぁ〜ん……だぁいすきぃ〜……」
思いもよらぬルナの寝言にクスリと笑みをこぼすと、サクヤは脱衣室に入った。
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如月唯奈(プロフ) - 今日から新しい時代が始まりました!今時代(?)こそ良いことが起こりますように!そして、この小説で一位をとってみたいなんて、贅沢を言ってみる(笑)これからもよろしくお願いします! (2019年5月1日 3時) (レス) id: 0a57facb33 (このIDを非表示/違反報告)
如月唯奈(プロフ) - 黒桜さん» コメントありがとうございます!久し振りのコメントなので嬉しいです(*T^T)更新は遅くなりますが、これからもよろしくお願いします! (2019年4月17日 18時) (レス) id: 0a57facb33 (このIDを非表示/違反報告)
黒桜(プロフ) - ストーリーも、イラストも私の大好きな世界観です!毎回更新楽しみにしています! (2019年4月16日 22時) (レス) id: 81872cb428 (このIDを非表示/違反報告)
如月唯奈(プロフ) - 暗黒桜さん» ホントだ!ありがとうございます! (2019年3月23日 7時) (レス) id: 0a57facb33 (このIDを非表示/違反報告)
暗黒桜(プロフ) - 如月唯奈さん» 57話が2回ありますよ! (2019年3月23日 0時) (レス) id: 9ef58b7b9f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:シャル(如月唯奈) | 作成日時:2019年1月15日 22時