【kgm】社長が彼氏は乙女ゲーかなんかじゃん

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けれどドアを開ければ見慣れた光景が広がっていて、何も考えなくても自然と身体が動く。ハヤトはまだ帰って来ていないらしい、リビングの電気が消えている。最近暑くなって来たから冷房を付けて、真っ先に夕飯の準備に取り掛かった。冷蔵庫やら何やらを漁って、面倒だからパスタでいいかと乾麺を手に取る。手を洗ったりお湯を沸かしたりしている間に玄関の方から物音がして、少し危ないが火の元を離れた。


「やっぱり先に来てましたか。ただいま帰りました」

「おかえり」

「夕飯どうしますか？」

「もう作り始めた。後で風呂洗っといて」

「はーい」


　さっさとキッチンに戻らねば、とハヤトに背を向けたタイミングでぐいと後ろ向きに力がかかる。腰に手が回され、引き寄せられた。そのまま背中に柔らかい何かが当たる感覚が一瞬して、ばっと振り向けば恍惚とした柔和な笑みを浮かべるハヤトが真っ直ぐこちらを見ていて。頻繁にこんなことされてりゃ、そら心身共に影響出るでしょうよと内心呆れに似た息を吐く。まあ、別に嫌でもなんでもないからいいんだけど。最初の内にベタベタされると年数経った時どうなるのかが不安になるから止めてよ、なんて縁起でもないことが浮かんで。それを口に出そうとして噤んだ。だって目の前でずっと幸せそうに微笑まれてちゃ、そんな杞憂する必要無いのかもなって思うじゃんね。

　これが今の私の日常であり、今のハヤトの日常。この日常が非日常になってしまわぬように、私も目の前の男に自分が持てる限りの愛を捧げて生きていこうと頭の片隅でそっと考えた。








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　キスはする場所によって意味が変わります。背中へのキスの意味、暇な時にでも是非調べてみてください。

※作者より、生存報告・謝罪・その他諸々→←EP.14_1

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