舞祭組短編集 (ページ20)

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③ ページ20

宮「千ちゃん。ワッターだって辛いんだよ。」

藤「健永...。渉はな、好きでAちゃんの彼氏を演じてるんじゃねぇーんだよ。渉は、Aちゃんに頼まれたんだ。彼氏のフリをして欲しいって...な。」

千「彼氏のフリって...それじゃ、ワッターはAちゃんの彼氏じゃないのか？」

藤「Aちゃんが、どうして...渉に彼氏のフリをして欲しいって頼んだのは、忘れられない相手がいたからだよ。」

千「忘れられない相手??」

藤「あぁ...。」

その時...千賀は、Aがお見舞いに来なくなる前...Aとこんな会話をしてたのを思い出したのだ。

回想シーン

千「Aちゃん。1つ聞いてもいい？」

『はい。』

千「横尾さんのどこが好きなの？」

『渉と付き合い出したのは、つい最近なんです。だから、どこが好きなのかは、まだ...分からない。』

千「そうなんだ。」

『私...渉と付き合う前、ある人と交際していたんです。でも、その彼...事故にあって、記憶を失ってしまったんです。』

千「俺と一緒だね？」

『その彼、付き合ってた彼女の事も忘れてしまっていて...落ち込んでた時に、渉が傍にいてくれたり慰めてくれて付き合い始めたんです。彼なら、忘れさせてくれると思って...でも、渉と付き合ってても、その彼の事が忘れられなくて...。』

千「そうだったんだ。」

『千賀くんも大切な人が出来れば、きっと、私の気持ちがわかりますよ。それじゃ...帰りますね？』

回想シーン終

千「なぁー。ガヤさん...。この写真...っていつ撮ったんだ？」

藤「お前が、事故に遭う前だよ。お前が事故に遭う前日、俺ら全員で、Aちゃんの家で飲んでたんだよ。その時に撮った写真だ。」

千「......。」

マネ「千賀さーん。スマホが治りましたよ。」

千「サンキュー。」

マネ「画像だけは、修復出来なかったらしいんですが、ある女の子が...訪ねてきたそうです。」

千「ある女の子??」

マネ「その女の子...こう言ってたそうです。”彼にとって大切な思い出だから...”って言って帰ったって!!」

そして...マネージャーから受けとったスマホを開き、ロックを解除するが、暗証番号が違っていた為開かなかった。