6.目立つ人 ページ6
「すみません。日替わりパスタひとつ!」
列に並びようやくたどり着いた注文口で、トレーを手に学食のおばちゃんに声をかけた。
人のよさそうなその人は「はい、日替わりひとつね〜」と明るく受けてくれて、すぐに皿に盛られたパスタが出てきた。
トレーにパスタを乗せ、さらに別のレーンで小鉢のサラダを取りながら辺りを見回す。
サトシくんは相変わらずラーメンの列に並んでいて、そわそわと落ち着かない様子だ。
「風磨くんは…」
別のレーンに目をやると、定食の列に風磨君が並んでいる。
「今日も日替わり定食かな」
“俺は、好きになったものには一途なの!”
毎日日替わり定食を頼む風磨くんをからかったら、そう言って必死に反論していた顔を思い出し、私はひとりクスッと笑った。
その時。
「ねぇ、菊池風磨くんでしょ。私たちも同じ学部なの」
「え〜ねぇめっちゃかっこいい〜」
そう言いながら2人の女の子が風磨くんに話しかけている。
話しかけられた風磨くんは、照れたような困惑したような顔で2人と話しているけれど、何と言っているのかまでは聞き取れない。
(あの子たち、可愛いなぁ〜。都会の大学生って感じ。お洒落だしスタイルもいいし…)
そう思いながら見ていると、後ろから「すみません」と声をかけられ、我に返る。
どうやら私が立ち止まっていたせいで、サラダを取りたい人の邪魔になっていたらしい。
「あ、すみません。どうぞ」
後ろの男子学生を先に促す。
すると後ろからさらに別の声が聞こえた。
「Aちゃん!どうしたの〜?」
「サトルくん!やっとラーメンもらえたんだ」
「そう!ここのラーメンうまいから人気で、みんなめっちゃ並んでんのよ。ようやくゲットしました〜。で、何見てたの?」
サトルくんに尋ねられ、私は風磨くんと2人の女の子が話しているところを指さした。
「ありゃ〜、やっぱつかまっちゃったか」
「え?」
私が聞き返すと、サトルくんはニヤニヤしながら教えてくれた。
「ほら、風磨はアイドルだし、あのルックスでしょ?大学にいてもよく女の子に話しかけられるのよ〜」
「え?でも、私その現場あまり見たことないよ」
「まぁAちゃんがいる時は、風磨もよく喋るし、話しかける隙がないんじゃない?俺と2人の時なんか悲惨よ!5メートル歩くごとに違う女の子たちが話しかけてくるって感じ。しかも俺なんか眼中にないんだから!ひでぇよな〜。しかも何が悔しいって、女の子たちみんな可愛いんだコレが」
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anpuu(プロフ) - お返事いただけて光栄です。大長編!尚更嬉しいです!毎日楽しみにしています(⌒▽⌒) (2017年5月30日 16時) (レス) id: b8556b424c (このIDを非表示/違反報告)
SaYaKa(プロフ) - anpuuさん» anpuuさん コメント&高評価ありがとうございます。本当に嬉しいです。このお話は私の中で大長編の予定でして…しばらくずっと続きますので、良ければ長くお付き合いください(*^^*) (2017年5月30日 16時) (レス) id: 3736ec2a42 (このIDを非表示/違反報告)
anpuu(プロフ) - 星10を押したのですが星9?になってしまいました。読んでいてとっても面白いです! (2017年5月30日 15時) (レス) id: b8556b424c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:SaYaKa | 作成日時:2017年5月26日 1時