44.差し入れ ページ44
「おい!ちょっと待てよ。お前らさっきから何の話してんの」
2人の間を遮るように、俺は言葉を挟んだ。
「この間私のバイト先に健人くんが来てくれてね、私が勧めた本を買ってくれたの」
「へぇ〜中島が、Aの店に、ね」
俺は目を細めて刺すような視線を中島に向ける。
「前に“今度行くよ”って約束してたし、ちょうど読んでた本読み終わったとこだったからね。でもマジでAちゃんにお勧め聞いて正解だったわ」
俺の視線を交わすように、中島は言葉を続けた。
「えぇ〜いいなAちゃん。ケンティ!今度俺のバイト先にも来てくださいよ!サービスするんで!」
「サトルくんはどこで働いてんの?」
いいタイミングでサトルが会話に入って来て、2人はそのままサトルの店の話で盛り上がっていた。
「風磨くん」
Aは、中島とサトルが話し込んでいるのを確認すると、恐る恐るといった様子で俺のそばに寄ってきた。
「実は何か差し入れをしようと思ったんだけど、食べ物とか飲み物はやめた方がいいってサトルくんに言われて…」
「あぁ…まぁライブ前とかみんな極力あんま食わないし、終わった後は食べる時間とかないしな」
「そうみたいだね。それで、私なりに考えて…これ…」
そう言うとAはバッグの中から何かを取り出して俺に差し出した。
「これ、御守り?」
渡されたのは“健康御守”と書かれた紫色の御守りだった。
「うん。ライブで怪我したりせずに、最後の日まで最高のパフォーマンスができたらいいなと思って。ここの神社ね、歴史ある神社でご利益があるって有名らしいの。だから、きっと守ってくれると思うから」
予想外の差し入れに俺は思わずプッと吹き出してしまった。
「やっぱりちょっとおかしいよね。こんな差し入れ…」
「いやそうじゃなくて。やっぱりAは予想をはるかに超えてくるな〜と思ってさ。あ、褒めてんのよ?心配してくれてありがとな。大事にするよ」
そう言って俺は御守りを大切に握り締めた。
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anpuu(プロフ) - お返事いただけて光栄です。大長編!尚更嬉しいです!毎日楽しみにしています(⌒▽⌒) (2017年5月30日 16時) (レス) id: b8556b424c (このIDを非表示/違反報告)
SaYaKa(プロフ) - anpuuさん» anpuuさん コメント&高評価ありがとうございます。本当に嬉しいです。このお話は私の中で大長編の予定でして…しばらくずっと続きますので、良ければ長くお付き合いください(*^^*) (2017年5月30日 16時) (レス) id: 3736ec2a42 (このIDを非表示/違反報告)
anpuu(プロフ) - 星10を押したのですが星9?になってしまいました。読んでいてとっても面白いです! (2017年5月30日 15時) (レス) id: b8556b424c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:SaYaKa | 作成日時:2017年5月26日 1時