38.サプライズ ページ38
今日も相変わらず私は忙しく働いている。
「10代最後の誕生日に特に予定もなくバイトに明け暮れるなんて…」
仕事の手を止め、つい落ち込みそうになる自分を鼓舞して何とか仕事に集中した。
夕方。
バイトを終えて休憩室でスマホを確認すると、サトルくんからメッセージが来ていた。
【この間のことで話したいことがあるから、バイト終わったら大学に来て!】
(この間の事ってなんだろう?風磨くんたちのコンサートのことかな?)
何があったのかは分からないけれどとりあえず大学に行ってみることにした。
夏休みの夕方ということもあって、学生の姿はほとんど見当たらなかった。
とりあえずラウンジに着いて、サトルくんに電話をしてみる。
「あ!Aちゃん、お疲れ!」
「サトルくん、メッセージ見て今ラウンジに来たんだけど、どうしたの?何かあった?」
「うん…ちゃんと会って言わなきゃいけないことがあってさ…。今ラウンジの先の演習室1の教室まで来てくれる?」
「うん…分かった」
何となくいつもより早口で落ち着かない様子のサトルくんが気になったけれど、私はとりあえず言われるがままに指定された教室へ向かった。
「演習室1…。この部屋でいいんだよね?」
念入りに教室名のプレートを確認した後、軽くノックすると中から「どうぞ〜入って」というサトルくんの声が聞こえて、私は扉を開けた。
その瞬間―――
「ハッピーバースデーA!」
「ハッピーバースデーAちゃん!」
言葉と同時にクラッカーが鳴らされ、私は驚きのあまりその場に立ち尽くしてしまった。
「どうしたんだよA。そんな怖い顔して突っ立ってないで、中入れよ」
見かねた風磨くんが近づいてきて私の手を引き教室の中へといざなう。
そこには、ロウソクが立てられたバースデーケーキが準備されている。
「どう?Aちゃん、びっくりした?」
サトルくんが満面の笑みで私の顔を覗き込む。
「すっごいビックリした…。え、でもどうして?」
「ま、いいからいいから。ほら、A!ろうそく吹き消して」
私の言葉を遮るように風磨くんが促すので、私はうなずいて目の前のろうそくの火を勢いよく吹き消した。
「いぇ〜い!おめでと〜!」
「おめでとう、A」
改めて2人が盛大な拍手で祝ってくれて、何だか照れくさくて私はうつむいてしまった。
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anpuu(プロフ) - お返事いただけて光栄です。大長編!尚更嬉しいです!毎日楽しみにしています(⌒▽⌒) (2017年5月30日 16時) (レス) id: b8556b424c (このIDを非表示/違反報告)
SaYaKa(プロフ) - anpuuさん» anpuuさん コメント&高評価ありがとうございます。本当に嬉しいです。このお話は私の中で大長編の予定でして…しばらくずっと続きますので、良ければ長くお付き合いください(*^^*) (2017年5月30日 16時) (レス) id: 3736ec2a42 (このIDを非表示/違反報告)
anpuu(プロフ) - 星10を押したのですが星9?になってしまいました。読んでいてとっても面白いです! (2017年5月30日 15時) (レス) id: b8556b424c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:SaYaKa | 作成日時:2017年5月26日 1時