近くて遠い人(SZ:F.K)

３７．夏休み ページ37

大学の夏休みは長い。

講義がない分、レコーディングやＰＶ撮影、ライブやそれに伴うリハーサル、雑誌の撮影やテレビの収録など詰め込まれた仕事は多忙を極める。

「最近あいつらに会えてねぇなぁ…」

学校がないと、Aに連絡を取るきっかけもない。

そんな時、勝利と中島の会話が聞こえてきた。

「もしかして好きな子でもできた？」

「そんなんじゃねえよ」

２人が恋バナしてるなんて珍しいなと横目で眺めつつ、俺はAのことを考えた。

サトルの話によれば、Aは本屋でのバイトに精を出しているらしい。

たまにサトルの店にも顔を出すみたいだが、いつも１人で飯を食いに来るようで、男の気配はない…らしい。

(そういえば…)

俺はあることを思い出してサトルにメッセージを送った。


その後仕事終わりに青山のとある店に向かった。

「いらっしゃいませ」

「あ、どうも…」

初めて足を踏み入れる店内にドギマギしながら、店員さんにいろいろと相談して、約１時間後ようやく目当てのものを購入して店を後にした。

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