近くて遠い人(SZ:F.K)

３６．呼び出された理由 ページ36

思い切って健人くんにメッセージを送ってから１週間。

最初の返事は、私のメッセージから約４時間が経った頃だった。

遅くまでライブのリハーサルがあったらしく、家に帰ってからすぐ連絡をくれたらしい。

それから毎日１〜２通ずつではあるけれど、メッセージの交換をするようになった。

楽屋でのメンバーの様子やステージ衣装、美味しそうなケータリングのご飯など、たまに写真も送られてくる。

当たり前のことなんだけど、健人くんも風磨くんもアイドルなんだな、って再認識させられる。

さらに健人くんは超多忙な中、時間を見つけては本を読んでいるらしくいろんな本の話もやり取りしている。

(すごいなぁ…。お仕事や学業で忙しいはずなのにちゃんと本も読んでるなんて尊敬するな)

健人くんのことを考えていると、ふいにスマホが鳴った。

手に取るとサトルくんからのメッセージだった。

翌日。
指示された通り大学のラウンジへ行くと、サトルくんは「久しぶり！」と手を振った。

「どうしたの？急に呼び出して」

「実はAちゃんに見せたいものがあってさ！」

そう言うとサトルくんはスマホの画面を私に見せた。

「Sexy Zoneのコンサート、チケット取れたんだ！」

「コンサート！？」

「そう。俺、風磨と友達になってからセクゾのファンクラブに入ってさ、毎年ライブ申し込んでるんだよね。風磨がチケット準備してくれるって言うけど、やっぱ自分で申し込んで参戦したいからさ」

「へぇ〜、そうなんだ！じゃあ今年も行けるんだね。おめでとう！」

私がそう言うとサトルくんは「チッチッチッ」と人差し指を揺らしながらニヤリと笑った。

「実は２名で申し込んだから、今年はAちゃんも一緒に行こうよ！」

サトルくんのこの言葉を聞いて、私が呼び出された理由がようやく分かった。

「私もいいの？」

「うん、もちろん！風磨には当日まで黙っておこうぜ。サプライズってやつ」

こうして私はサトルくんと共に、翌月に控えたSexy Zoneのコンサートに行くこととなった。

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