34.バイト先に現れたのは… ページ34
みんなで海に行った日から2週間余り経った。
風磨くんはライブツアーが始まったりして、さらに忙しそう。
あの日以来会っていないし、連絡も取っていない。
私は海での胸のモヤモヤを少しずつ忘れようと、今日もバイトに励んでいる。
夕方のピークが落ち着いてきた頃、背後から「こんにちは」と声をかけられた。
「いらっしゃいませ」と言いながら振り返ると、そこには予想しない人がニコニコした笑顔で立っていた。
「け、健人くん?!」
「こんにちは、Aちゃん」
「どうしたんですか?」
私はあまりにも予想外の来客に慌ててしまう。
「え?前に、今度Aちゃんのバイト先に行くね、って話したでしょ? 今日撮影が早めに終わったからAちゃんいないかな〜?と思って来てみましたっ」
相変わらずさわやかな笑顔で健人くんはそう言った。
「本当に来てくれると思わなかったからびっくりしちゃって…。ありがとうございます」
私はしどろもどろになりながら頭を下げる。
「ふふ。やっぱりAちゃん、面白いね。そうだ!何かAちゃんのおすすめの本ない?この間会った時に俺が持ってた本、あれ読み終わっちゃったから」
「そうですね〜。これなんかどうですかね?」
私が手にしたのは、甘く切ないラブストーリー。
(男の人には、こういうのダメかな…)
私から本を受け取りパラパラとページをめくる健人くんの表情を伺う。
「うん、これにしようかな。面白そう!」
「本当ですか?よかった。こういうラブストーリーものって男の人にあまり好まれなかったりするから、どうかな…ってちょっと不安だったんですけど」
「俺ね、よく“男なのに珍しい”って言われるけど、こういう恋愛ものの話って、大好きなんだよね。あ、ほら、俺ファンの子たちに“ラブホリ王子”とか言われてるし」
「お買い上げ、ありがとうございました」
レジで支払いを済ませた健人くんに声をかける。
「こちらこそありがとう。あ、そうだ…」
健人くんはバッグから手帳とペンを取り出して何かを書いた後、そのページを破って私に差し出した。
「これ、俺のID。もし良かったら連絡して。あ〜ほら、本の感想とか言いたいし」
健人くんはIDを書いた紙を私の手に無理やり握らせた後、いつもの爽やかな笑顔を残して店を後にした。
「どうしよう…」
渡された紙には、連絡先のIDと「連絡待ってるね 健人」と記されている。
「待ってるねって…何て送ればいいの…?」
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anpuu(プロフ) - お返事いただけて光栄です。大長編!尚更嬉しいです!毎日楽しみにしています(⌒▽⌒) (2017年5月30日 16時) (レス) id: b8556b424c (このIDを非表示/違反報告)
SaYaKa(プロフ) - anpuuさん» anpuuさん コメント&高評価ありがとうございます。本当に嬉しいです。このお話は私の中で大長編の予定でして…しばらくずっと続きますので、良ければ長くお付き合いください(*^^*) (2017年5月30日 16時) (レス) id: 3736ec2a42 (このIDを非表示/違反報告)
anpuu(プロフ) - 星10を押したのですが星9?になってしまいました。読んでいてとっても面白いです! (2017年5月30日 15時) (レス) id: b8556b424c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:SaYaKa | 作成日時:2017年5月26日 1時