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27.跳ねるスーパーボール ページ27

駅前広場での夏祭りを満喫し、Aを送るためアパートまで一緒に歩くことにした。

俺の手には焼きそば、Aの手にはりんご飴と、俺が取ったスーパーボールがしっかりと握られている。

さっきからAは街灯の灯りにスーパーボールをかざし、嬉しそうに目を細めている。

「そんなに嬉しいの?それ」

「もちろん!スーパーボールなんて子供の時以来だし、それに何より、風磨くんが必死に取ってくれたんだもん」

Aはそう言うと、その視線を俺に向けて、ニコッと笑った。

この笑顔に俺は、弱い。

「そう言えば、何でスーパーボールなの?普通、縁日っつったら金魚すくいじゃね?」

俺はさっきから気になっていたことを尋ねてみた。

「金魚すくいもね、1回はやったことあるの。でもその金魚すぐ死んじゃって…。それから金魚すくいはもうしないって決めたんだ。それに、スーパーボールって何か元気になるじゃん?」

「どーゆーこと?」

「見てるだけでもキラキラしててきれいだし、それにすごい跳ぶじゃん?それ見てたら何だか元気になる。地面に打ち付けられるような辛いことがあったって、その分きっと高く跳べるって思えるから」

そう言うとAは何度かその場でスーパーボールを地面に打ち付け、キャッチしてみせた。

何度かそれを繰り返していると、Aは「風磨くん、キャッチしてね」と言ってスーパーボールを地面に打ち付けた。

高く跳ね上がったボールを俺がキャッチする。

「じゃ、次はAが取れよ」

俺は思いっきりの力を込めてスーパーボールを地面に打ち付けた。

「ちょっと!やりすぎ!!」

そう言いながらも高く高く跳ね上がったスーパーボールを、Aは何とかキャッチした。

ほとんど車の通りがない道中、俺たちはそうやって交互にキャッチしながらアパートまで歩いた。

アパートの目の前で、最後にボールをキャッチしたのはAだった。

「私のアパート、ここだから」

スーパーボールをキャッチした後、Aはそう言うと俺の方を向いた。

「送ってくれてありがと」

「おう」

「それから、これもありがと」

そう言ってAは右の手の平に載せたスーパーボールを見せながら言った。

「どういたしまして」

「私、大事にするね。風磨くんが初めて私にくれたものだから」

そう言うと大事そうに握り締めた。

「じゃ、おやすみなさい」

「おやすみ」

そう言ってアパートの階段を駆け上がり部屋の中に消えていく後ろ姿を見送った。

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anpuu(プロフ) - お返事いただけて光栄です。大長編!尚更嬉しいです!毎日楽しみにしています(⌒▽⌒) (2017年5月30日 16時) (レス) id: b8556b424c (このIDを非表示/違反報告)
SaYaKa(プロフ) - anpuuさん» anpuuさん コメント&高評価ありがとうございます。本当に嬉しいです。このお話は私の中で大長編の予定でして…しばらくずっと続きますので、良ければ長くお付き合いください(*^^*) (2017年5月30日 16時) (レス) id: 3736ec2a42 (このIDを非表示/違反報告)
anpuu(プロフ) - 星10を押したのですが星9?になってしまいました。読んでいてとっても面白いです! (2017年5月30日 15時) (レス) id: b8556b424c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:SaYaKa | 作成日時:2017年5月26日 1時

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