19.健人くん ページ19
「どうして私の名前…?」
私が尋ねると、彼は笑いながら答えた。
「仕事場でも風磨は君たちの話をよくしてるから。本当に仲がいいんだね、3人は」
「おい!あんまそういうの言わなくていいから!」
風磨くんは暴露されたことが恥ずかしいらしく、慌てた様子だ。
「中島さんと風磨くん、本当に同じ大学だったんですね」
「うん、そう。俺は1学年上だけどね。あ!ていうか、そんな堅苦しい呼び方しなくていいよ。健人って呼んで。ね、Aちゃん!」
私より背の高い彼は、その体を屈めると私と視線を合わせて、ニコッと笑った。
「あ…はい…」
目の前のものすごく近い距離に健人くんの顔があって、ドギマギしてしまう。
私が呆気に取られて動けずにいると、すかさず風磨くんが私と健人くんの間に入った。
「おい中島。やめとけって。こいつそういうの慣れてねぇから」
「ごめんごめん。ま、またちょこちょこ会うと思うし、2人ともよろしくね」
そう言うと、健人くんはヒラヒラと手を振って行ってしまった。
「いや〜初めて本物見たけど、やっぱかっこいいな〜ケンティ」
サトルくんは去りゆく健人くんの後ろ姿を見ながら、なぜかうっとりしている。
「おい、A大丈夫か?」
私の前に立ちはだかっていた風磨くんの背中が動いたと思うと、振り返り私の顔を覗き込んだ。
「うん、大丈夫。ありがとう」
「驚かせて悪ぃな。でもあいつ悪い奴じゃないから心配すんな」
「うん。それは分かってるよ。同じ大学にいるって話は聞いてたんだけど、本当に会えると思ってなかったからちょっとびっくりしちゃっただけ」
「へぇ〜。A、中島のことは知ってんだ。俺のことは知らなかったくせに」
少しすねたように風磨くんが私を睨んだ。
「風磨くんと出会ってから、私もちょっとは勉強したんだよ。Sexy Zoneというグループについて!」
「ふぅ〜ん」
「やっぱケンティはプライベートでも王子なんだな〜。テレビで観るそのまんまだ」
サトルくんは尚もうっとりしたまま、1人呟いている。
「そうかな…。私は何だかちょっとイメージ違ったな…」
「え?そう??テレビで観る通りかっこよかったじゃ〜ん」
サトルくんは私の言葉に驚き目を丸くした。
「うん…かっこいいのはかっこいいと思うんだけど…」
私の言葉をさえぎるように授業開始を告げるチャイムが鳴り、私たちは講義室へと急ぐ。
(何だか寂しそうに見えた)
健人くんの後ろ姿を思い出し、私は胸の中で呟いた。
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anpuu(プロフ) - お返事いただけて光栄です。大長編!尚更嬉しいです!毎日楽しみにしています(⌒▽⌒) (2017年5月30日 16時) (レス) id: b8556b424c (このIDを非表示/違反報告)
SaYaKa(プロフ) - anpuuさん» anpuuさん コメント&高評価ありがとうございます。本当に嬉しいです。このお話は私の中で大長編の予定でして…しばらくずっと続きますので、良ければ長くお付き合いください(*^^*) (2017年5月30日 16時) (レス) id: 3736ec2a42 (このIDを非表示/違反報告)
anpuu(プロフ) - 星10を押したのですが星9?になってしまいました。読んでいてとっても面白いです! (2017年5月30日 15時) (レス) id: b8556b424c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:SaYaKa | 作成日時:2017年5月26日 1時