14.少しずつ離れていく距離 ページ14
次の日も、そのまた次の日も、昼休みになるとAは「友達と食べる」と俺たちの前から消える。
それだけじゃなく、座る時も3人でキャンパス内を歩く時も、サトルをまん中にしたがるし、前みたいに俺と話そうとしない。
何となく俺と2人きりになることを避けているような気さえする。
「なぁサトル。最近A、ちょっと様子おかしくねぇ?」
いつものように学食でラーメンをすするサトルに話しかけると、サトルは盛大にむせて危うく麺を吐き出してしまうところだった。
「何だよ風磨、突然。びっくりするじゃんか」
「悪ぃ。でも何かおかしい気がすんだよな〜。お前何か聞いてねぇの?」
「いや…別に…何も…」
そう答えるサトルの様子があまりにも不自然で、俺は何か隠しているんだとすぐに勘付いた。
「おい、サトル。お前何隠してんだよ」
「いや、何も隠してないよ。変な言いがかりやめろよ」
そう言うと、ラーメンを食べようとまた箸に手を伸ばす。
俺はその手を掴んでサトルを睨み付けるように見て、「おい」と凄んだ。
「いや、Aちゃんに風磨には絶対言うなって口止めされてんだ。Aちゃん、ああ見えて実は結構怖くてさ。絶対風磨に言ったことがバレたら怒られるよ…」
「お前、俺とは結構長い付き合いになるよな?高校の時、俺がテスト勉強協力してやったこととか、女の子とのデート段取ってやったこととか忘れたとは言わせねぇぞ」
サトルは俺の気迫に根負けしたのか、「仕方ないなぁ」というとまだ食べかけのラーメンが載ったトレーを手にして席を立った。
「風磨もついて来いよ」
そう言われ、俺もトレーを手にサトルの後を追う。
サトルが向かったのは大学の構内にある中庭が見える場所だった。
この中庭は木が植えられていたり花壇には花が咲いていて、いくつかベンチもあるので、ここで休憩する人がいたり、お昼には女子たちがお弁当を食べながら喋っているのをよく目にする。
中庭から少し離れた場所に着くと、サトルは「ほらあれ」と指さした。
その先を見ると、Aがいた。
「こんな所で友だちと飯食ってんのか、あいつ」
俺の言葉を聞いて、サトルは「いや」と首を横に振った。
「俺の友達がよくここでAちゃんを見かけるらしいけど、いつも1人で昼食べてるみたいなんだ」
サトルの言葉に俺は耳を疑った。
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anpuu(プロフ) - お返事いただけて光栄です。大長編!尚更嬉しいです!毎日楽しみにしています(⌒▽⌒) (2017年5月30日 16時) (レス) id: b8556b424c (このIDを非表示/違反報告)
SaYaKa(プロフ) - anpuuさん» anpuuさん コメント&高評価ありがとうございます。本当に嬉しいです。このお話は私の中で大長編の予定でして…しばらくずっと続きますので、良ければ長くお付き合いください(*^^*) (2017年5月30日 16時) (レス) id: 3736ec2a42 (このIDを非表示/違反報告)
anpuu(プロフ) - 星10を押したのですが星9?になってしまいました。読んでいてとっても面白いです! (2017年5月30日 15時) (レス) id: b8556b424c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:SaYaKa | 作成日時:2017年5月26日 1時