変わらず 、隣に 。2

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「 おはよ〜 、ガヤ 」

「 んー 。おはよ 」

「 藤ヶ谷さん こっち！ 」




今日は歌番組の収録で

着いて早々メイクさんに囲まれ

その中で朝ごはんを黙々と食べる 。




たまに目の前の鏡に映る

ぼろぼろの自分の姿を見て

苦笑いしながら 。





歌番組の収録があるのに

昨日泣いた自分に呆れる 。



おかげで目が少し赤くなってて

泣いてたこと気付かれるかも…






「 …よし 、出来ました 」

「 ありがとうございます 」




でも 、そこはやっぱり

プロのメイクさんで 。




何も言わずに

赤みをカバーするメイクを

きっちりほどこしてくれていた 。






凄いな …


聞かないでくれた優しさに

心がじんわり温かくなる 。






「 あれ？あそこの振付って… 」

「 そこは確か右手をさ 、」





メンバーが収録に向けて

振付の確認をしてるのが

近くから聞こえてきた 。






いつからだっけ …



歌番組の収録が

こんなに憂鬱になったのは 。





何もかも変わったのに

変わらない 、位置関係 。



隣を見れば いつだって

俺の隣に北山がいる 。





前はそれが嬉しくて

必死に食らいつきながら

隣にいることを頑張ってたのに 。






でも今は恐いと思う 。



同じ場所に立って見てても

見える景色が前と全然違うから 。




この景色を見たくて

頑張ってきたわけじゃないのに 。






でも …



隣にいなかったらいなかったで

何故か寂しく感じる 。




北山も訳わかんないけど

俺が1番よくわかんない 。





隣にいてくれたら

それだけでいいのだろうか 。






心のどこかでは…




隣にいないよりは 、

いくら変わり果てても

いてほしいと思ってるのかな 。






「 あ 、ミツ！おはよっ 」

「 宏光 早いね 、今日 」

「 ん〜 。ちょっとな 」




北山が来たことで

さっきより賑やかになる楽屋 。



健永やニカに囲まれて

大人っぽく笑ってる北山を

一瞬 、盗み見る 。





隣にいてほしい と思っても

実際隣でも …


もう隣じゃないじゃん 。




隣にいても同じ距離歩いてても

北山は俺と違う道を歩いたんだから 。



交わることだって無い 、

どこに辿り着くか分からない道で

俺と北山は別れたんだ 。




北山が隣にいないと気付いて

振り返れば 、そこにはもう


北山はいなくて

真っ暗な景色しかなかった 。






「 太輔 、行こう 」

「 … そだね 」




俺は渉の言葉に頷くと

収録に向かった 。

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