隣の赤髪くんと生徒会長様っ！【赤羽業】

命の時間 ページ27

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落ちた。死を覚悟して目を瞑るが、衝撃は一向にやってこない。何やら背中に柔らかいものが当たる。


「自らを使った計算づくの暗殺お見事です。音速で助ければ君の肉体は耐えられない。」


うっすらと目を開けると、そこには蜘蛛の巣のように触手を張り巡らせた殺せんせーの姿。


「かといって、ゆっくり動けば撃たれる。そこで先生ちょっとネバネバしてみました！」


そう説明をして、ドヤ顔を決め込む殺せんせー。


「なんでもありかよこの触手!?」

ネバネバと張り付いているおかげで、業は身動きが取れない。


「ちなみに、見捨てるという選択肢は先生にはない。」


殺せんせーのその言葉に、業は抵抗をやめて彼を見つめた。


「いつでも信じて飛び降りてください。」


殺せんせーの一言一言が業という名の闇を追い払う。


「(こりゃダメだ。死なないし殺せない。

少なくとも、先生としては。)」


目を瞑り、手を大空へと掲げる。
気持ちが楽になったのが業にもわかった。



その後、殺せんせーによって渚たちの元へと連れられた業。


「カルマくん平然と無茶したね。」

業が飛び降りた崖下を見ながら渚が言う。


「別に？今のが考えた限りじゃ一番殺せると思ったんだけど。」


そう言って退けては見たが、しばらく作戦を練る必要があると認めざるを得なかった。

すると、今まで座り込んでいたAが無言のまま業のもとへと歩いてくる。


「バカ!!」

その言葉と共に振り上げられた手。
乾いた音が夕方の山上に鳴り響く。


「日暮さん…。」


叩かれた頬を触り、黙りこくる業と怒りと悲しみで感情を昂らせるAを見守る渚。


「あんた本当にバカじゃないの!? 簡単に命捨てて……死にたがりもいい加減にしなさいよ!!」


胸倉を掴み、背伸びをしながら怒鳴るAに業はただ一言…


「……ごめん。」

……謝ることしかできなかった。


「世の中にはね、生きたくても生きれなかった人が沢山いるのよ!!あんたの軽率な行動で、どれだけの人に迷惑かけるか分かってんの!?」



歯止めがきかなかった。

言えば言うほど、業の先程とった行動に腹が立つ。それと同時に、涙が溢れてくる。


「……ごめん。」


謝り続ける業に、掴んでいた手を緩めるA。


「本当にごめん……。心配かけた……。」


業の表情は、伺えなかった。

引き寄せられた身体と抱きしめられている温もりで、堰(せき)が切れたように視界がだんだんと涙で霞(かす)んでゆく。

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