※第96話 side:降谷 ページ48
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トレーニング中に降りだした雨。
場所を変え高架下で壁打ちに励んだ。
「何故、見殺しにした」
過るのは笑うヒロの姿。
そしてー・・・
「お前ほどの男がーーーー」
凶弾に倒れたヒロと銃を握り締め血に塗れた赤井秀一。
「っ、どうして!!!!」
思い切り壁を殴り付けた。
ジャリー・・・
荒い息遣いに振り返れば迷い犬。
思わず安堵の息が漏れた。
その場にしゃがみ頭を撫でると嬉しそうに擦り寄ってくる。
「君も、独りぼっちか」
強くなる雨音。
「付いて来るなよ」
濡れるから、とフードを被り迷い犬を残して自宅に帰ることにした。
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降りしきる雨の中。
今にも消えてしまいそうな表情で空を見上げる一人の男。
「・・・高崎?」
見知った男の名を呼べば、声に反応した高崎と視線が絡んだ。
珍しくゴーグルを外し、紅い瞳が剥き出しになっている。
顔が青白い。
まだ完全には治ってないのだろうか?
「っ、危ない!」
ふらついた身体を抱き締めれば、小刻みに震えていた。
雨に混じって微かに匂った。
嗅ぎ覚えのある煙草。
また'沖矢昴'と居たのだろうか。
胸が軋んだ音を立てる。
締め付けられるような胸の痛みに耐えるように、奥歯を噛み締めた。
「何かあったのか?」
「・・・・・・」
問いかけに答えることはなく、高崎は顔を胸元に埋めたまま。
・・・無言は肯定、だな。
沖矢昴と会い何かがあった。
まるで胸を抉られたような痛みが身体を駆け抜ける。
高崎を抱き締める腕に力が籠った。
その力強さに高崎の身体が小さく跳ねる。
明らかな怯え。
酷い事でもされたのだろうか?
高崎の傷付いている理由が沖矢昴だということが気に食わない。
沖矢に対する苛立ちが募る。
「・・・僕の家に来ないか?」
雨に濡れた肢体。
このままでは風邪をぶり返してしまう。
それ以上に沖矢昴と一体何があったのか、それが知りたい。
少しだけ悩む素振りを見せたあと。
戸惑いがちに小さく頷いた。
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鐘稀(プロフ) - いおりさん» コメントありがとうございます!楽しみにして頂いてるなんて嬉しい限りです!体調に気を付けながら、亀ですが更新頑張ります! (2019年12月29日 17時) (レス) id: ff7da1074b (このIDを非表示/違反報告)
いおり - すっごい面白い、、、。これからもお体に気をつけて更新頑張ってください。楽しみに待ってます。 (2019年12月29日 15時) (レス) id: bce55b4438 (このIDを非表示/違反報告)
鐘稀(プロフ) - 涙さん» 初コメントありがとうございます!駄文で申し訳ないですが楽しんで頂けるようにこれからも頑張って更新します! (2019年12月18日 13時) (レス) id: ff7da1074b (このIDを非表示/違反報告)
涙(プロフ) - 続き楽しみに待ってます、 (2019年12月17日 22時) (レス) id: 5e6c663fd7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鐘稀 | 作成日時:2019年11月25日 14時