※第９０話 side：降谷 ページ42
×
Buーー、Buーー
音に気付いてスマホを取り出した。
鳴っていたのは組織用。
表示された名前と内容に小さく息を吐き出した。
スマホを仕舞い台所へ向かう。
ボウルに湯を入れタオルを濡らし寝室の扉の前に立った。
コン、コンー・・・
「な、なに？」
高崎の戸惑ったような声音が返ってきた。
さっきの今では仕方無い。
互いに顔を合わせづらいのも事実。
「すまない。ベルモットからの呼び出しがかかった」
「・・・それって、俺がジンに頼まれたやつ？」
内容までは知らないけど、と高崎の拗ねたような声が聞こえた。
'今の俺は、使い物にならない'
自ら放ったその言葉を、どうやら引き摺っているらしい。
高崎らしいな、と思わず苦笑が漏れた。
「あぁ。動画の押収だが代わりに引き受けられて良かった」
公安なら動画の秘匿性は保証出来る。
組織を追い詰める証拠にもなりえる。
「なら断って正解、かな」
嫌悪感など微塵も感じられない安堵したような高崎の声音。
・・・嫌じゃ、なかったのか？
「扉の脇にボウルとタオルを置いておく。ちゃんと拭いて寝るように」
じゃあ、と後ろ髪を引かれる思いで玄関を出た。
×
とあるホテルのラウンジー・・・
「後始末の件だけど・・・」
「もう済んでいます、ご安心を」
「抜かりはないってところかしら？」
流石ねバーボン、と優雅にワインを呷っているのはベルモット。
「あら、お口に合わなかった？」
食事もそこそこに済ませれば降ってきたのは疑問の声。
「いえ、そんなことありませんよ」
実際は夜の夜景を楽しむ余裕などなく頭を過るのは高崎のことばかり。
本当であれば彼の具合が良くなるまで傍に付き添っていたかったのだがー・・・
そっと唇に触れた。
胸に残る蟠り。
あのキスを高崎がどう思ったのか。
あのまま傍にいたら高崎の口から何か聞くことが出来たのだろうか。
ー・・・いや。
聞けたところで今の高崎は思考が熱に浮かされている。
そんな状態での言葉など意味がない。
それにー・・・
僕もまだ高崎に何も伝えていない。
「・・・最低だな」
言葉よりも先に手が出てしまった事実に今更ながら後悔した。
×
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 214人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「名探偵コナン」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
鐘稀(プロフ) - いおりさん» コメントありがとうございます！楽しみにして頂いてるなんて嬉しい限りです！体調に気を付けながら、亀ですが更新頑張ります！ (2019年12月29日 17時) (
レス) id: ff7da1074b (このIDを非表示/違反報告)
いおり - すっごい面白い、、、。これからもお体に気をつけて更新頑張ってください。楽しみに待ってます。 (2019年12月29日 15時) (レス) id: bce55b4438 (このIDを非表示/違反報告)
鐘稀(プロフ) - 涙さん» 初コメントありがとうございます！駄文で申し訳ないですが楽しんで頂けるようにこれからも頑張って更新します！ (2019年12月18日 13時) (レス) id: ff7da1074b (このIDを非表示/違反報告)
涙(プロフ) - 続き楽しみに待ってます、 (2019年12月17日 22時) (レス) id: 5e6c663fd7 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：鐘稀 | 作成日時：2019年11月25日 14時
