※第82話 side:降谷 ページ34
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組織と公安。
両方の後始末のため暫くポアロを休むことになった。
高崎とも暫く会うことは無いだろう、と思っていた矢先ーー・・・
「ブラッディが風邪を?」
ベルモットからもたらされた内容に目を丸くした。
「えぇ。ジンの話だと'今の俺は、使い物にならない'って言ったそうよ」
ジンは個人的に高崎を買っている。
放りつくような痛みが駆け抜ける。
ただの取引相手にすらこの様か、と肩を竦めた。
「昨日の件で処理してほしいことがあったんだけど、無理そうね」
冷たい風の吹く屋上にいた所為か。
溜まっていた思いを吐き出した反動か。
恐らくその両方だろう。
「なら、僕が代わりに引き受けますよ」
「そう言ってくれると思っていたわ、バーボン」
ベルモットの弾んだ声音に呆れたように小さく息を吐き出した。
「やってほしいのは防犯カメラの動画の消去。名古屋駅でジンとウォッカが爆弾を仕掛けてるところよ」
あの二人の格好は目立ち過ぎる。
怪しい人間だ、と言っているようなものだ。
「分かりました。今日中に二人の痕跡は動画から消しておきますよ」
「よろしくね、バーボン」
ベルモットとの通話を終え画面をスライドする。
掛ければ数秒で出た彼の名は'風見裕也'
唯一、警視庁公安部で連絡を取れる一つ年上の部下。
「どうかされましたか?降谷さん」
「風見か。すまないが私用でな、今日は登庁しない」
言いながら、ジャンパーを羽織り玄関へ向かう。
「分かりました。何かしておくことは?」
「名古屋駅にある防犯カメラの映像の押収。・・・それから貨物車両爆発の件を公安で処理してくれ」
公安お得意の違法作業。
高崎の手を汚さなくて済むなら、と思うあたり公私混同も甚だしい。
思わず苦笑が漏れた。
「また何かありましたら連絡ください」
「あぁ。頼んだぞ」
通話が切れたと同時に玄関の扉を開いた。
「大人しく寝ていると良いんだが」
ベルモットの口振りからして仕事が儘ならない程には具合が悪そうだ。
「スーパーに寄って行った方が良さそうだな」
何せ高崎の部屋に入るのは、これが初。
ふと脳裏を過るのは室内で撮られただろう高崎の写真。
結構な頻度でヒロは高崎の家に通っていただろうことが分かる。
胸の奥で燻る形容しがたい劣等感。
小さく息を吐き出し愛車の停まる駐車場へと向かった。
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鐘稀(プロフ) - いおりさん» コメントありがとうございます!楽しみにして頂いてるなんて嬉しい限りです!体調に気を付けながら、亀ですが更新頑張ります! (2019年12月29日 17時) (レス) id: ff7da1074b (このIDを非表示/違反報告)
いおり - すっごい面白い、、、。これからもお体に気をつけて更新頑張ってください。楽しみに待ってます。 (2019年12月29日 15時) (レス) id: bce55b4438 (このIDを非表示/違反報告)
鐘稀(プロフ) - 涙さん» 初コメントありがとうございます!駄文で申し訳ないですが楽しんで頂けるようにこれからも頑張って更新します! (2019年12月18日 13時) (レス) id: ff7da1074b (このIDを非表示/違反報告)
涙(プロフ) - 続き楽しみに待ってます、 (2019年12月17日 22時) (レス) id: 5e6c663fd7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鐘稀 | 作成日時:2019年11月25日 14時