※第６０話 ページ12
×
さっきまでの息苦しさが。
またいつの間にか消えていた。
「具合はどうです？」
ハンドルを操作しながら安室さんが横目で俺を見た。
「もう全然。何ともないみたい」
へらり、と笑う。
笑顔を見せれば安室さんの緊張が解けたのが伝わる雰囲気で分かった。
「原因は分かってるんですか？」
「・・・原因、ねぇ」
安室さんといる時は何でもない。
安室さんと梓さんが一緒にいる時にだけ起こってる気がする。
・・・何か、それを安室さんに言うと俺が梓さんの事を嫌ってるみたいだな。
決して、そんな事は無いんだけど。
「分からないから困ってる」
そうですか、と困ったように眉根を寄せ安室さんは微笑んだ。
「そういえば、高崎さんって煙草吸うんですね。ちょっと意外でした」
「吸わないけど。・・・何で？」
「え、いや。抱き寄せた時に煙草の匂いがしたので、てっきり」
赤井の奴。
思いっきり吹き掛けてきたからな煙。
はぁ、と息を吐き出した。
この場合、下手な嘘は言わない方が賢明だろう。
「・・・沖矢だよ。吸ってたの」
安室さんの纏う空気が一瞬で変わった。
眉間に刻まれた皺が深くなる。
「また一緒だったんですね」
「悪い？」
「・・・彼には気を付けた方が良い。君のためにも」
それは偏見にしか過ぎない。
赤井だって景光を助けようとしていた。
安室さんはその事実から目を背けてるだけ。
「誰と何をするか。決めるのは俺で、安室さんじゃない」
言い切れば、安室さんの表情が目に見えて曇った。
駄目だ。
どうしても感情的になってしまう。
安室さんに嫌な事しか言ってない。
そう思うと胸が軋んだ音を立てた。
その音に気付かない振りをして安室さんを横目で見た。
「・・・今は次の任務に集中したら？」
失敗すれば、お互い次は無い。
こうして会話することだってーー
「失敗なんかしませんよ。まだ、貴方とその後の予定もありますから」
安室さんが片頬を上げる。
その瞳は赤井同様。
標的を目前に爛々としていた。
×
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 214人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「名探偵コナン」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
鐘稀(プロフ) - いおりさん» コメントありがとうございます！楽しみにして頂いてるなんて嬉しい限りです！体調に気を付けながら、亀ですが更新頑張ります！ (2019年12月29日 17時) (
レス) id: ff7da1074b (このIDを非表示/違反報告)
いおり - すっごい面白い、、、。これからもお体に気をつけて更新頑張ってください。楽しみに待ってます。 (2019年12月29日 15時) (レス) id: bce55b4438 (このIDを非表示/違反報告)
鐘稀(プロフ) - 涙さん» 初コメントありがとうございます！駄文で申し訳ないですが楽しんで頂けるようにこれからも頑張って更新します！ (2019年12月18日 13時) (レス) id: ff7da1074b (このIDを非表示/違反報告)
涙(プロフ) - 続き楽しみに待ってます、 (2019年12月17日 22時) (レス) id: 5e6c663fd7 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：鐘稀 | 作成日時：2019年11月25日 14時
