※第7話 side:赤井 ページ8
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どうやら彼、雪成Aは甘党らしい。
それもかなりの。
だがー・・・
流石の俺も珈琲に砂糖を13個も入れる奴を見たのは初めてだ。
掻き回される度に砂糖が溶けドロリ、としたものに変わっていく。
何食わぬ顔で口を付ける姿に俺の胃の方がヤられそうだ。
「ん〜。美味い」
果たしてその砂糖まみれの珈琲に味の良し悪しは存在するのだろうか。
「やっぱり珈琲に砂糖は欠かせないよなぁ」
はにかんだ笑顔。
28歳だと言っていたが決して年相応には見えないソレに胸の奥がゾクリ、と疼いた。
「それで本題は?沖矢さん」
「・・・本題、とは?」
何でしょう、と聞き返せば雪成が妖艶な笑みを浮かべた。
「何で俺を連れてきた?」
10年前と同じ。
凛とした漆黒の瞳。
あの日もこうして穴が開きそうなほど見つめられていた。
病院で会ったときは他人の空似かと思った、が。
阿笠博士や工藤一家と面識があるあたり本人で間違いないだろう。
「・・・その瞳ですよ」
「瞳?俺の?」
意味が分からない、と首を傾げる雪成に片頬を上げた。
「えぇ。雪成先生の方が僕に用があるのかと思ったのですが・・・」
'病院でじっと見られていたので'
そう付け足せば雪成が困ったように眉根を寄せた。
「えっと、・・・さ。気分を害したなら悪い。職業病みたいなもんで」
「職業病、ですか」
「言ってなかったっけ?俺、臨床心理士の資格持っててさ」
ことり、とコーヒーカップがテーブルに静かに置かれた。
「何となく分かるんだよ。あぁ何か隠してんなぁって。それにー・・・」
細められた瞳。
唇が綺麗な弧を描いた。
「こういうときの俺の勘は外れたことがない」
『雪成先生はすごく勘のいい人だから気を付けてよ、昴さん』
・・・全く。
ボウヤの言う通りだな。
得意気に語る彼の姿に小さく息を吐き出した。
「・・・雪成先生が知って得するようなことは何も無いですよ」
彼はー・・・
'こちら側に巻き込んでいい人間ではない'
「安心しろよ」
「え?」
「詮索する気はないから」
雪成が珈琲を口にする。
「誰にだってあるだろ?隠したいことの1つや2つくらい」
そういった彼の眼差しは何処となく寂しげだった。
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鐘稀(プロフ) - くれはさん» コメントありがとうございます!引き続き楽しんでもらえるよう亀更新ですが頑張りますね! (2020年4月1日 7時) (レス) id: ff7da1074b (このIDを非表示/違反報告)
くれは - 頑張って!続き出来たら飛んできます!w (2020年3月30日 20時) (レス) id: 2bfb99dd96 (このIDを非表示/違反報告)
鐘稀(プロフ) - くるすけさん» コメントありがとうございます!はい!ちょっとずつですが更新頑張ります!ありがとうございました! (2020年2月24日 19時) (レス) id: ff7da1074b (このIDを非表示/違反報告)
鐘稀(プロフ) - そらさん» コメントありがとうございます!楽しんで頂けたなら幸いです!とてつもなく亀で申し訳ないですが生ぬるい目で見守ってやってください(笑)ありがとうございました! (2020年2月24日 19時) (レス) id: ff7da1074b (このIDを非表示/違反報告)
くるすけ - 面白かったです!更新頑張ってください! (2020年2月24日 14時) (レス) id: 022b55326f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:撞稀 | 作成日時:2020年2月11日 21時