※第43話 ページ44
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「見付けた!雪成先生!」
ぐいっ、と袖を引っ張られ視線を下げれば険しい表情の江戸川が瞳に映った。
「引っ張るな!伸びるだろ、服!」
何なんだ、一体。
江戸川に何かしたか、俺?
「な?逃げたりしないから、取り敢えず離せ」
宥めるように優しい声音で言えば江戸川が渋々だが袖を離してくれた。
「・・・雪成先生。小五郎のおじさんに会うの、すっかり忘れてたでしょ?」
「あ〜、そういえば」
この間は蘭と園子に捕まって。
小五郎さんも戻ってこなかったから帰ったんだっけ。
「おじさん怒ってたよ?」
「・・・マジ?」
まぁ、想定内だよな。
蘭から俺のこと聞いてるだろうし。
「なら、今から伺えば良いんじゃないですか?」
やり取りを眺めていた透が満面の笑みを浮かべた。
「僕も御一緒しますよ」
「っ、大丈夫だよ安室さん!僕も一緒だし急にいなくなったらお客さん困るでしょ?」
慌てる江戸川の表情はどことなく固い。
眼鏡の奥の眼差しが何かを探るように透を真っ直ぐ見つめている。
「梓さんも居ますから。逆に僕が一緒だと何か都合が悪いことでも?」
「そんなこと無いよ!梓さん1人だとお店大変じゃないかなぁって思っただけだから」
・・・何だ?
江戸川は透の何を警戒してる?
透の方も江戸川を多少なり意識してるみたいだし。
「あ〜、あのさ」
「どうかしましたか?」
「透の気持ちは有り難いんだけど俺も子供じゃないからさ」
そもそも透に付いてきてもらうとか大の大人が恥ずかしい。
「そう、ですか」
「じゃあ、またな」
いざ毛利探偵事務所へ。
・・・来たまでは良かったんだよ、来たまでは!
「あんだけ世話してやったって言うのにお前って奴は!」
「いや、だからさ。俺の話も少しくらい聞けよな、小五郎さん!」
「い〜や!お前こそ人の話を聞け!だいたい昔からなぁ・・・」
右から左へ小五郎さんの話を流していく。
ちらり、と視線を横に遣れば苦笑いを浮かべる江戸川の姿。
背後では蘭が鼻歌まじりに夕飯の仕度に勤しんでいる。
すげぇ良い匂い。
俺も晩飯食っていこうかなぁ。
英理さんはアレだけど蘭の手料理は美味いんだよな。
な〜んて意識を飛ばしてみるも。
「聞いてんのか、A!」
目の前の現実に引き戻される。
「あ〜、はいはい。聞いてるって」
「っ、お前って奴は!」
それから小一時間。
猛烈な小言を受けたのは言うまでもない。
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鐘稀(プロフ) - くれはさん» コメントありがとうございます!引き続き楽しんでもらえるよう亀更新ですが頑張りますね! (2020年4月1日 7時) (レス) id: ff7da1074b (このIDを非表示/違反報告)
くれは - 頑張って!続き出来たら飛んできます!w (2020年3月30日 20時) (レス) id: 2bfb99dd96 (このIDを非表示/違反報告)
鐘稀(プロフ) - くるすけさん» コメントありがとうございます!はい!ちょっとずつですが更新頑張ります!ありがとうございました! (2020年2月24日 19時) (レス) id: ff7da1074b (このIDを非表示/違反報告)
鐘稀(プロフ) - そらさん» コメントありがとうございます!楽しんで頂けたなら幸いです!とてつもなく亀で申し訳ないですが生ぬるい目で見守ってやってください(笑)ありがとうございました! (2020年2月24日 19時) (レス) id: ff7da1074b (このIDを非表示/違反報告)
くるすけ - 面白かったです!更新頑張ってください! (2020年2月24日 14時) (レス) id: 022b55326f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:撞稀 | 作成日時:2020年2月11日 21時