※第41話 side:降谷 ページ42
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「男子高校生の勢いって凄いよなぁ」
昼下がりのポアロ。
賑わっていた客も引き一息ついた頃。
この時間を狙ったかのようにAがポアロに顔を出すようになったのは、つい最近。
「何ですか?突然」
「いや〜、ははっ。・・・はぁ」
神妙な面持ちで溜め息混じりに呟いたAに何事だ、と眉根を寄せた。
「10年前は自分もああだったのかと思うと頭が痛いなぁっと思ってさ」
だから一体何の話をしているんだ、さっきから。
懐かしむように遠くを見つめる眼差しと仄かに赤みを帯びた頬。
複雑そうに歪んだ表情。
・・・もしかして。
「誰かに告白でもされました?」
「っ、」
僕の言葉に驚いたのか大きく見開かれた黒目がちの瞳と視線が交錯する。
「・・・まぁ、な」
やっぱり。
予想通りの回答に。
ギシッと胸の奥が軋んだ音を立てた。
胸の痛みに耐えるように唇を噛み締め誤魔化すように笑みを浮かべた。
僕は今、ちゃんと笑えてるだろうか。
「・・・青春、ですね」
「だな」
困ったように笑うAに本意ではないのだろう事は見てとれた。
「で?どうするんです?」
「どうするって、向こうは高校生なんだし。・・・無ぇよ」
Aが面倒そうに頭を掻き乱した。
どうにも歯切れが悪い。
高校生相手に一体。
何を悩むことがあるのだろうか?
気を揉むような。
憂慮すべき事なのだろうか?
その気がないのなら。
悩む必要なんか無いだろう?
心の奥に溜まる鬱積。
本人を前にはっきりと口に出してしまいたい衝動に駆られる、が。
彼の背を押しかねない。
それだけは僕としても避けなければならない事態だということは明確で。
何にしても彼の思考の隙間に上手く入り込んだ男子高校生。
・・・正直。
「面白くないな」
「・・・透?」
低い声音が響いた。
怪訝そうにAの瞳が揺れる。
「っ、すみません。・・・Aの言うとおり今時の男子高校生の勢いは凄いですね」
「はは、だろ?」
ここで話を終わらせるのは簡単だ、が。
僕としても男子高校生にAの思考を奪われてまで此処で易々と引き下がるわけにはいかない。
ならー・・・
「・・・A」
「ん?」
「大人同士の恋愛はどうですか?」
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鐘稀(プロフ) - くれはさん» コメントありがとうございます!引き続き楽しんでもらえるよう亀更新ですが頑張りますね! (2020年4月1日 7時) (レス) id: ff7da1074b (このIDを非表示/違反報告)
くれは - 頑張って!続き出来たら飛んできます!w (2020年3月30日 20時) (レス) id: 2bfb99dd96 (このIDを非表示/違反報告)
鐘稀(プロフ) - くるすけさん» コメントありがとうございます!はい!ちょっとずつですが更新頑張ります!ありがとうございました! (2020年2月24日 19時) (レス) id: ff7da1074b (このIDを非表示/違反報告)
鐘稀(プロフ) - そらさん» コメントありがとうございます!楽しんで頂けたなら幸いです!とてつもなく亀で申し訳ないですが生ぬるい目で見守ってやってください(笑)ありがとうございました! (2020年2月24日 19時) (レス) id: ff7da1074b (このIDを非表示/違反報告)
くるすけ - 面白かったです!更新頑張ってください! (2020年2月24日 14時) (レス) id: 022b55326f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:撞稀 | 作成日時:2020年2月11日 21時