※第35話 ページ36
×
「行かなくて良かったのか、花見」
博士の家から移動して。
俺達は今。
工藤邸の応接室で寛いでいた。
「一緒に居られるのは嫌だったか?」
「・・・別に嫌じゃないけど。って質問に質問で返すなよな」
溜め息混じりに吐き出して。
ペラリ、とアルバムの頁を捲る。
「・・・ところで。さっきから何を見ているんだ?」
「ん?あぁ、これ?」
細い瞳を更に細くして手元をじっと見つめる昴の前で頁を開いて見せた。
「新一の小さい頃の写真」
博士と有希子さんの姻戚関係の手掛かりがあるかもしれない。
そう思って応接室に来る前に書斎に寄って数冊、引っ張り出してきた。
「・・・俺も写ってる」
それも結構な枚数で。
そういえば。
記念だ何だと有希子さんが自前のカメラを持ち出してよく撮ってたっけ。
至るところに映り混んでいる自分の姿に思わず苦笑が漏れた。
「本当の家族みたいに扱ってくれたんだよな、俺のこと」
初めて工藤家に泊まった日。
近くの公園で新一にサッカーを教えているところ。
キャンプに旅行。
次々に頁を捲っていく、と1枚の写真が目に映り手を止めた。
あぁ、これはー・・・
「俺が高3で。新一、蘭、有希子さんと4人で海に行ったときの写真だ」
あいにく優作さんは仕事で一緒には来れなかったんだよな。
「この時さ。ちょっと嫌な事件に巻き込まれて」
「嫌な事件、とは?」
「殺 人事件」
優作さんが前から警察に協力してたのは知ってたし俺も助けてもらった事がある。
だとしても。
「目の当たりにするのは初めてでさ。優作さんもいないし、新一なんかまだ小学生」
あの時は見当違いなことを言ったりもしていた、が。
それが今じゃ世間では有名な高校生探偵だもんなぁ。
「どうなる事かと思ったけど」
「どうなったんだ?」
あのときは・・・
「優作さんばりに頭のキレる奴があっさり解決してくれたんだよな、これが」
「・・・ほぉ」
覚えているのは。
秀吉の兄貴だという事と。
ニヒルな笑みを浮かべた黒髪の青年、ということくらい。
ただ、それ以上に。
有希子さんから電話と写真でしか状況を聞いてないはずの優作さんが。
犯人にまで辿り着いた事の方が驚きだったけどな。
×
307人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「名探偵コナン」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
鐘稀(プロフ) - くれはさん» コメントありがとうございます!引き続き楽しんでもらえるよう亀更新ですが頑張りますね! (2020年4月1日 7時) (レス) id: ff7da1074b (このIDを非表示/違反報告)
くれは - 頑張って!続き出来たら飛んできます!w (2020年3月30日 20時) (レス) id: 2bfb99dd96 (このIDを非表示/違反報告)
鐘稀(プロフ) - くるすけさん» コメントありがとうございます!はい!ちょっとずつですが更新頑張ります!ありがとうございました! (2020年2月24日 19時) (レス) id: ff7da1074b (このIDを非表示/違反報告)
鐘稀(プロフ) - そらさん» コメントありがとうございます!楽しんで頂けたなら幸いです!とてつもなく亀で申し訳ないですが生ぬるい目で見守ってやってください(笑)ありがとうございました! (2020年2月24日 19時) (レス) id: ff7da1074b (このIDを非表示/違反報告)
くるすけ - 面白かったです!更新頑張ってください! (2020年2月24日 14時) (レス) id: 022b55326f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:撞稀 | 作成日時:2020年2月11日 21時