※第24話 ページ25
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天気の悪い日は。
決まって膝の古傷が疼く。
カランー・・・
ガリッ
「何か、もう。・・・今日はやる気しないなぁ」
ぐったり、と机に項垂れた。
保健室から見えるのは曇天。
気持ちまでもが滅入ってしまう。
以前までならー・・・
.
『辛気くさい顔』
保健室に来て開口一番。
俺に対してだけなのか。
はたまたどの先生にもそうなのか。
何の遠慮もなく言えるアイツは相当度胸が据わってると思う。
新一と似た顔。
似た声の持ち主。
江古田高校2年:黒羽快斗
『煩ぇな。黒羽には関係無いから此処に来てないでさっさと授業に行け』
『ちょっ、柄悪くねぇ?』
『これが俺の素だ。何か文句あるか?』
素っ気なく返したところで引き下がるような奴じゃない。
『なぁ、先生!』
『・・・何だよ』
『俺の両手。ちょっと見ててよ』
目の前に差し出された拳。
意味が分からない、と首を傾げるも促すような視線をくれるだけ。
何なんだ、一体。
『Three・・・』
弾んだ声音。
得意気な表情。
『Two・・・』
じっと見つめていると握り拳に力が入るのが分かった。
『One!』
ポン、と音が鳴ったかと思えば開かれた両手には大量の飴が。
『・・・は?』
思わず目を見開いた。
『これ、やるからさ。元気出せよな雪成先生!』
満足そうに口角を上げて黒羽は俺の掌にガサガサと大量の飴を降らせた。
『じゃあ遠慮なく貰う。・・・ありがとうな、黒羽』
.
「まだ数ヵ月なのに懐かしいなぁ」
元気にしてるかなぁ、黒羽の奴。
学校の決まりで離任する最後の日まで何も言えなかったからな。
「何が懐かしいの?」
「ぅわっ、江戸川!いつから居たんだ、お前」
「つい、さっきだよ!僕、雪成先生に渡したい物があって」
「渡したい物?」
「はい、これ」
開かれた掌には透明な包み紙に入った飴玉の山。
「・・・くれるのか?」
「うん!だから元気出して!」
『元気出せよな雪成先生!』
屈託のない笑顔が黒羽と重なる。
「ふはっ」
「え?」
突然笑い出した俺を江戸川が怪訝そうに首を傾げた。
「いや、悪い。くくっ、」
黒羽の奴もそうだったけど。
「ありがたく貰っとくよ」
甘い物だけ与えておけば機嫌が良くなるとでも思われてんのか、俺は。
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鐘稀(プロフ) - くれはさん» コメントありがとうございます!引き続き楽しんでもらえるよう亀更新ですが頑張りますね! (2020年4月1日 7時) (レス) id: ff7da1074b (このIDを非表示/違反報告)
くれは - 頑張って!続き出来たら飛んできます!w (2020年3月30日 20時) (レス) id: 2bfb99dd96 (このIDを非表示/違反報告)
鐘稀(プロフ) - くるすけさん» コメントありがとうございます!はい!ちょっとずつですが更新頑張ります!ありがとうございました! (2020年2月24日 19時) (レス) id: ff7da1074b (このIDを非表示/違反報告)
鐘稀(プロフ) - そらさん» コメントありがとうございます!楽しんで頂けたなら幸いです!とてつもなく亀で申し訳ないですが生ぬるい目で見守ってやってください(笑)ありがとうございました! (2020年2月24日 19時) (レス) id: ff7da1074b (このIDを非表示/違反報告)
くるすけ - 面白かったです!更新頑張ってください! (2020年2月24日 14時) (レス) id: 022b55326f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:撞稀 | 作成日時:2020年2月11日 21時