※第18話 ページ19
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「懐かしいな」
6年振りに見る建物は少しばかり老朽化が進んでいた。
『毛利探偵事務所』
窓の一つ一つ。
大きく貼り付けられた文字。
きっちりと閉められているところを見る限り誰も家には居ないのだろう。
「失敗したなぁ」
平日の今日。
蘭と江戸川が学校に居る時間帯。
先に小五郎さんに挨拶しとこうと思っていたのに。
見事に当てが外れてしまった。
「さぁて。どうやって時間潰すそうか」
大方ギャンブルに勤しんでいるだろう小五郎さんの姿を思い浮かべて苦笑した。
「雪成さん?」
呼ぶ声に振り返れば。
箒と塵取りを手にしたエプロン姿の安室さんが居た。
「・・・本当に働いてたんだ」
感嘆の声を漏らした俺に安室さんが困ったように眉根を寄せる。
「わざわざ確認しにいらしたんですか?」
「そんな暇人じゃないから」
「では一体、何をしに?」
不思議そうに首を傾げる安室さんに頭を掻き乱し小さく息を吐き出した。
捲った袖の隙間から見える白い包帯。
「・・・どうせ行ってないんだろ、病院」
「えぇ。雪成さんの処置が的確だったので必要ないかな、と」
「応急措置だって言わなかったっけ?」
「それで十分ですよ。あれくらいの怪我なら、あとは放っておいても治ります」
「病院嫌いの子供か、アンタは」
一体全体どこから来るんだ。
その根拠の無い自信は。
カランー・・・
「安室さん。お掃除終わりましたか?」
「すみません、梓さん。つい話し込んでしまって」
店から出てきたのは可愛らしい茶髪ロングの女性店員。
俺の姿を見付けると。
人懐っこい笑みを浮かべた。
「雪成さん。もし時間があるなら少し寄っていきませんか?」
安室さんからの突然の誘い。
もともと寄るつもりでいた俺にとっては好都合で。
小五郎さんや蘭を待つのにも丁度良い。
それに昼近くの現在。
腹も空けば甘い物も食べたいところ。
措置の報酬としても十分だろう。
「勿論。安室さんの奢りだからな」
立ち尽くす安室さんに片頬を上げる。
'梓さん'と呼ばれた女性店員に案内され店の中へと入った。
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鐘稀(プロフ) - くれはさん» コメントありがとうございます!引き続き楽しんでもらえるよう亀更新ですが頑張りますね! (2020年4月1日 7時) (レス) id: ff7da1074b (このIDを非表示/違反報告)
くれは - 頑張って!続き出来たら飛んできます!w (2020年3月30日 20時) (レス) id: 2bfb99dd96 (このIDを非表示/違反報告)
鐘稀(プロフ) - くるすけさん» コメントありがとうございます!はい!ちょっとずつですが更新頑張ります!ありがとうございました! (2020年2月24日 19時) (レス) id: ff7da1074b (このIDを非表示/違反報告)
鐘稀(プロフ) - そらさん» コメントありがとうございます!楽しんで頂けたなら幸いです!とてつもなく亀で申し訳ないですが生ぬるい目で見守ってやってください(笑)ありがとうございました! (2020年2月24日 19時) (レス) id: ff7da1074b (このIDを非表示/違反報告)
くるすけ - 面白かったです!更新頑張ってください! (2020年2月24日 14時) (レス) id: 022b55326f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:撞稀 | 作成日時:2020年2月11日 21時