※第４８話 ページ50
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「・・・取り込み中でしたか」
本気で言ってるの、それ？
ドアを開いたまま固まる褐色肌に金髪の男、安室透。いや、今は組織の探り屋バーボン。
「あら。気が利かないのね、バーボン」
「それは失礼。今からでも外に出ましょうか？」
嫌味など気にも留めず、にっこりと爽やかな笑みを浮かべるバーボン。
それに対してベルモットは不機嫌そうに眉根を寄せ、俺から離れた。
この二人の板挟み。
何かすごく嫌なんだけど。
空気を変えるためにコホン、と咳払いをする。
紅い瞳を細めて、バーボンを見つめた。
昼間、俺たちが会っていたことをベルモットは知らない。
盗聴されていたのは、あの時だけ。
ならーー
「カーチェイス振りだね、バーボン」
「・・・まさか貴方が噂に聞く'ブラッディ・マリー'だったとは」
バーボンの顔に焦りの色が浮かぶ。
薄々は気付いていても、一足遅かった、ってとこかな。
くつり、と喉の奥で笑った。
「見たよ動画。・・・良かったねぇ、命拾いだ」
「どういう事です？」
「動画がフェイクかどうか、ブラッディに見てもらったのよ」
代わりに答えたのはベルモットだった。
バーボンの表情が険しくなっていく。
「疑われていたなんて、心外ですね」
「仕方ないんじゃない？貴方の周りでNOCが二人も出たんだから」
「っ、」
'NOCが二人'
バーボンが言葉を詰まらせた。
まるで射ぬくような鋭い眼差し。
はぁ、と息を吐き出した。
「俺はただの情報屋。・・・組織のことは深くは知らない」
多少はあるが、言わないでおこう。
「・・・そうですか」
拗ねたような声音。
怪訝そうな表情。
絶対、納得してないな。
それと一つ、気になってた事があったんだ。
・・・さっきの仕返しに丁度良い。
悪戯っぽい笑みを浮かべた。
「あのさ。バーボンが組織に入れたのって、ベルモットと身体の関係があるから、とか？」
俺の放った一言に、二人が同時に固まる。
室内の温度が一気に下がった。
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作者名：鐘稀 | 作成日時：2019年11月2日 21時
