※第41話 ページ43
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ゴーグルは必要無いだろう。
画面を見るのに邪魔になるし。
カラコンさえ着けていれば余程の事がない限り、紅い瞳がバレる事は無い。
茶色のカラコンを付け、トレードマークの灰色の外套を羽織った。
エレベーターを使って階下に下り、エントランスを抜ける。
目の前には白のRX。
もはや見慣れた車種だ。
ガチャ、と運転席のドアが開き安室さんが降り立った。
「おはようございます、高崎さん」
「今日はお世話になります、安室さん」
他人行儀な挨拶もそこそこに、助手席の扉を開けてくれた安室さん。
促されるまま、乗り込んだ。
「今日はゴーグルしてないんですね」
「タブレットの性能見るのにゴーグル付けたままじゃ分からないですから。だから今日はカラコンです」
「僕としては、紅い瞳も魅力的だと思いますけどね」
そうなのか?
そう言われても、正直どういう反応すれば良いのか分からない。
昔は'気味が悪い'としか言われてこなかったから。
最初に『隠さなくて良い』と言ってくれたのは育ての養父。
成人してからは景光だけだった。
けどーー
「最近、コナンや沖矢にも言われたんですけど、よく意味が分からなくて」
瞬間、それまで楽しそうだった安室さんの表情が僅かに曇った。
「沖矢昴にも見せたんですか?というか、やはり知り合いだったんですね」
・・・地雷だったか。
沖矢昴に何か感じるものがあるのだろう。薄々、赤井秀一だと勘づいてるかもしれない。
「コナンは元々知ってたし。退院した時に誘われて、三人でお茶したんです。ただ、それだけですよ」
何で、言い訳染みたことしてるんだろ。
「・・・本当ですか?」
拗ねたような声音と上目遣い。
アラサー男子とは思えない仕草に、胸の鼓動が一際大きな音を立てた。
「・・・安室さんはハニートラップとか得意そうですよね」
「高崎さんにそう言ってもらえるなんて、光栄ですよ」
嫌味にすらならない。
はぁ、と深く息を吐き出し、外の景色を眺めることにした。
頬が熱い気がするのはーー
ーーきっと俺の気のせいだ。
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作者名:鐘稀 | 作成日時:2019年11月2日 21時