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※第39話 探偵たちの夜想曲 ページ41

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「ーー沖矢」



とっくに追い付いてたのか。
それなら連絡の一つくらい、くれても良いんじゃないのか?



眉間に皺が寄る。



協力関係を結んでるはずなのに、この微妙な置いてけぼり感は一体何だ?



第一、沖矢もコナンもマイペース過ぎる。目の前の事に必死になると、途端に回りが見えなくなる。



不貞腐れる俺の隣で、安室さんは険しい表情で沖矢昴の乗るマスタングを睨んでいた。



そこからは怒濤のカーチェイス。



運転席の扉を開け、身を乗り出す沖矢の脇をスレスレで安室さんが通り抜ける。



交わった二人の視線。
それぞれの事情を知る俺に、二人を止めることは出来ない。



胸の奥が軋んだ音を立てた。



「・・・高崎さん。シートベルトを外してください」

「は?」



一体、何をするつもりなんだ?



脳をフル回転させる。
この状況下で、走行中の車を止める方法はそんなに多くないだろう。



まさかーー



冷や汗が頬を伝う。
思い当たる節に、もう溜め息しか出なかった。



「後部座席に座れば良かった」

ワザとらしく悪態を吐く。

「タブレット壊れたら、弁償してくださいね」

じろり、と見れば安室さんは困ったように眉根を寄せ、微笑んだ。

「・・・善処します」



これは駄目なパターンだ。



早々に諦めた。



言われた通りシートベルトを外せば安室さんの腕が伸び、抱き寄せられた。
互いの息がかかるほどの距離。

間近に迫った安室さんの整った横顔に、思わず見惚れてしまった。



瞬間ーー



前方に回った安室さんの車に青いスイフトが喧しい音を立てぶつかった。

助手席と後部座席の左側は、もはや見る影もない。タブレットも見事に粉々になっていた。

青いスイフトから出てきたのは樫塚さんではなく眼鏡の女。



部屋で見つかった死 体が強盗犯の一人だったなら、恐らくこの女で最後。

コナンに銃を向けている、が。



「ーーあ」

目の前で起きた光景に目を見開いた。
コナンを抱えていた女の顔が、バイクの前輪で吹っ飛ばされたのだ。



・・・やり過ぎだろ。



思わず苦笑が漏れた。



コナンに駆け寄るバイク乗り。
運転席で気絶している樫塚さん。
走り去る沖矢。



そしてーー



バイクに跨がり、歩道橋から此方を見下ろすベルモット。



「とりあえず任務完了、ってことで」

結果に納得したらしいベルモットは、満足そうに微笑んでいた。



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設定タグ:名探偵コナン , 降谷零 , 男主   
作品ジャンル:アニメ
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作者名:鐘稀 | 作成日時:2019年11月2日 21時

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