※第37話 探偵たちの夜想曲 ページ39
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消えたのは青いスイフト。
ナンバーを照会すれば、すぐに割り出せるだろう。
ボディバッグからタブレットを取り出し、電源を入れる。
「備えあれば、だな」
さすがにゴーグルをしたままでは、やりづらい。被っていたフードを脱ぎ黒のゴーグルを首から下げた。
警視庁にある交通課のデータベースに潜り込む。記憶していた登録車両番号を打ち込み照会した。
「・・・きた」
どうやら、樫塚圭は偽名だったようだ。
本名:浦川 芹奈
庄野賢也とは兄妹でも何でもない。
恐らく、二人は恋人同士。
事務所で亡くなっていた男は何らかの形で強盗犯と関わりがあった。
もしくは、当事者。
・・・後者だろうな。
色々と説明がついてしまう時点で。
これは彼女の復讐劇。
犯行が杜撰だったのは、彼女は自分の最期を決めているから。
唯一の誤算はーー
コナンが'あえて'彼女に付いていったこと。ついでに彼は、残りの強盗犯も捕まえるつもりだろう。
本当、面白いことをする奴だ。
防犯カメラをハッキングしている途中で、慌ただしい足音が聞こえた。
「高崎さん、コナン君が!!」
蘭さんの切羽詰まったような声に顔を上げる。
「分かってる。コナンは今、樫塚さんと一緒に居る」
「っ、その目」
俺を見て驚いた声を上げたのは安室さん。俺の瞳は今、紅ではなく茶色のカラーコンタクト。
初めて見る茶色の瞳に驚くのも無理はない。ただ、説明してる時間も惜しい。
タブレットに視線を戻すと、一件のメール。相手は沖矢だった。
「博士と哀も追ってるみたいだ」
「コナン君の発信器を辿ってもらってるの。だから私たちも行かないと」
「ちょっと待て」
安室さんの車に乗り込もうとする小五郎さんと蘭さんに制止の声をかけた。
「部屋から死 体でも見つかった?」
「・・・見てもいないのによく分かりましたね」
答えてくれたのは、鋭い眼差しを向ける安室さん。
「あれだけの死 臭がしてれば、さすがに気付きますよ」
挑発的な笑みを浮かべて、安室さんを見つめ返す。
「それより早くしないとコナン君が!!」
睨み合う俺達の間に割って入るように蘭さんが叫んだ。
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作者名:鐘稀 | 作成日時:2019年11月2日 21時