※第29話 side:降谷 ページ31
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流れる夜の風景。
助手席には、窓の外を眺める高崎A。
彼は今、ゴーグルを首から下げている。
「驚かないんですね」
まるで品定めでもするかのように、紅い瞳が俺を見た。
「・・・何を?」
「住所のことですよ」
「私立探偵だから、ですよね?」
そう言ったじゃないですか、と高崎はクスクス笑う。
高崎と出会ったのは、レストラン『コロンボ』
事件に巻き込まれ五日間の入院
そして退院したのが今日
「さすがに無理ですよ。ただの探偵が帰ってもない高崎さんの住所を知るのは」
へらり、と笑い返す。
「安室さん独自のルートが在るでしょう?」
公安のことを言っているのだろうか?
それとも組織の?
どうも彼には全てを知られているような気がしてならない。
「それで?俺のこと、何か解りましたか?」
まるで子供のように高崎は紅い瞳を輝かせる。
その姿に思わず苦笑が漏れた。
「・・・正直、お手上げです」
高崎Aは、生まれてすぐ孤児院前に毛布に包まれた状態で捨てられていた。
恐らく原因は彼の紅い瞳。
孤児院の職員をしていた男に引き取られるが、その男も中学三年生の夏に亡くしている。
高校卒業後ーー
高崎Aの経歴は不明。
彼が話してくれた以上の収穫は何も出てはこなかった。
「・・・それだけ?」
「えぇ。残念ながら」
期待外れ、とでも言いたげに高崎は息を吐き、肩を竦めた。
「君は一体、何者なんですか?」
これで答えてくれるなら苦労はしない。
第一、教える気があるならこんな回りくどいことはしないだろう。
一瞬、呆気に取られる高崎。
だが、紅い瞳はすぐに細められ彼の高笑いが車内に響いた。
「知りたければ、もっと本気になればいい。安室さんが使えるルート全て使って」
「っ、簡単に言ってくれますね」
「実際、簡単でしょう?」
・・・探り屋さん?
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作者名:鐘稀 | 作成日時:2019年11月2日 21時