※第24話 ページ26
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「何を考えてる。感傷に浸っている暇はないはずだ、ブラッディ」
沈みかける意識を浮上させたのは、赤井の酷く冷静な低い声音。
「・・・分かってる」
仮定の話なんか。
いくら考えたって無駄なこと。
苦々しく眉根を寄せた。
「高崎さんは、どうして奴等を?」
黙って眺めていたコナンが核心を問う。
自分のプライバシーをベラベラ喋る情報屋が何処に居る?
第一、教える義理もない。
唇に人差し指を宛て、片目を瞑る。
「此処から先は有料だ」
「え〜」
残念そうに肩を落とすコナンに、挑発的な笑みを浮かべた。
「探偵だろ?知りたければ探ればいい」
探れるものなら、な。
「本当!?」
「あぁ。好きにしろ」
そう言ってやれば片頬が上がり、コナンの瞳が鋭くなった。
「ところで、彼には会ったのか?」
'彼'とは、降谷零のことだろう。
赤井も彼の正体をまだ捉えきれてない。
赤井は恐らく、本人から『安室透』と紹介されている。逆に俺は景光から'降谷零'ーー'ゼロ'と聞かされていた。
それがイコールだと知ったのは五日前。
そのことを俺は赤井に言う気はない。
・・・今は、まだ。
「とりあえずは、って感じかな」
「・・・そうか」
それ以上の収穫は無い、と判断したのか。興味が失せたように赤井は煙草に火を付けた。
「さて。本題に入ろうか、ボウヤ」
「うん。分かったよ、赤井さん」
コナンが猫を被ってるってことは、赤井はコナンが工藤新一だと知らない?
・・・本人に確認する必要あり、だな。
「高崎さん。僕たちの仲間になってよ」
俺を見据える真剣な眼差し。
はぁ、と肩を竦めた。
「俺は情報屋だ。特定の誰かと馴れ合うつもりはない。奴等との取引だってあるし、それを止めるつもりもない」
きっぱり言えば残念そうに下がる眉尻。
・・・そんなに落ち込まなくても良いだろうに。
くつり、と喉の奥で笑った。
「・・・それでも構わないなら、協力関係くらいは結んでやるよ」
ーーただし。
俺の協力もしてもらうけどな。
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作者名:鐘稀 | 作成日時:2019年11月2日 21時