※第23話 ページ25
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これが工藤邸ーー。
古い感じの、雰囲気のある西洋風の屋敷。予想以上の大きさに目を瞬かせた。
流石は世界的に有名な作家、工藤優作とその妻で女優の工藤有希子の持ち家。
唖然とする俺を他所に、二人は平然と中へ入っていく。多少の抵抗を感じながらも、仕方なく後を追った。
屋敷の中へ入ると、被っていたフードを下ろし、ゴーグルを首に下げた。
露になったベージュ色の髪と紅い双眸。
瞬間、二人の動きが固まった。
どうかしたのか、と首を傾げると、コナンが気まずそうに頬を掻く。
「いや。結構あっさりしてるな、って」
「だって隠す必要ないだろ?」
もう知ってるんだし。
「それは、そうだけど」
はぁ、と溜め息を吐かれてしまった。
何なんだ、一体。
「君は少し、自分の容姿の良さを自覚した方がいいと思いますよ」
黙るコナンの代わりに答えたのは笑みを浮かべた沖矢だった。
紅い瞳が気持ち悪い、とかじゃないのか。っていうか、良さって何?
余計、分かんないんだけど。
「とにかく中に入ろうよ」
コナンに背中を押され、応接室へ向かった。座らされたのは窓側に備え付けられたソファ。
向かいには、沖矢昴と江戸川コナンが並んで座っている。
ビリィッーー
何かが破ける音が響いた。
驚いて視線を向ければ、徐々に剥がれていく沖矢昴のマスク。
露になる素顔。
その光景に目を見張った。
マスクの下から現れたのは、黒の短髪。
全てを見透かすような鋭い瞳。
「赤井さん!?」
何の前触れもなく素顔を晒した赤井秀一に、コナンが子供特有の高い声で叫ぶ。
「問題ない」
コナンを一瞥し、赤井は片頬を上げた。
「彼は敵ではないよ」
「っ、なら」
何故、姿を消した?
何故、連絡しなかった?
何故、一言も言わなかった?
何故、何故、何故ーー
口を開けば溢れそうになる。
ギリッ、と唇を噛み締め、赤井を睨み付けた。
「悪く思うな。敵を欺くには味方から、と言うだろ」
「俺は味方じゃ無い」
「奴等の件が片付くまでは、こちら側だと認識しているが?」
「っ、」
そう言われてしまえば言葉が続かない。
「状況が彼の時に重なってしまったのは不可抗力だ。俺はこのボウヤの指示に従ったまでだよ」
得意気に笑うコナンに目を見張った。
もし。
あの日、目の前の少年が居たならーー
景光は今も生きていた?
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作者名:鐘稀 | 作成日時:2019年11月2日 21時