※第20話 ページ22
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高木刑事が帰ったあと、ベッドの裏側に取り付けられた盗聴器を剥がした。
「おい。聞いてんだろ」
口元まで近付け低音を響かせる。
「お前が知りたいこと教えてやる。来いよ、江戸川コナン。・・・いや」
高校生探偵、工藤新一。
パキンッーー
軽い音を立てて、盗聴器は真っ二つに圧し折れた。
数時間後。
ノックもせず入ってきたのは、赤い蝶ネクタイが特徴的な眼鏡の子供、コナンだった。
険しい表情を見せるのコナンの腕には灰色の外套。
やっぱり持っていってたのか。
「返せよ、それ」
紅い双眸を細める。
警戒しながらも、傍まで来たコナンから外套を受け取った。
血が綺麗に洗い流され、空いていた穴がものの見事に塞がっている。
むしろ前よりも綺麗になった外套に、思わず目を丸くした。
「ある人に聞いたんだ。高崎さんの大事なものだって」
「ある人って」
脳裏に浮かんだのは黒いニット帽の男。
・・・生きている、と確証するにはまだ情報が足りない。
視界が揺らぐ。
悟られないように外套を羽織り、フードを目深に被った。
「高崎さんは何者なの?どうして俺や灰原の正体を知ってる!?」
睨み付けたまま捲し立てるコナンに、口角を吊り上げた。
「盗聴器仕掛けてたんだ。俺が何者か、なんて予想くらいついてるだろ」
「・・・ハッカーもしくは情報屋、だよね?」
「さすが名探偵。盗聴器を放置した甲斐はあったな」
「敵、なの?」
「・・・敵かどうかなんて、その時の立ち位置で簡単に変わる」
なぁ、そうだろ?
視線で問いかければ、コナンの表情が僅かに曇った。
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作者名:鐘稀 | 作成日時:2019年11月2日 21時