※第43話 side:降谷 ページ45
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'ハッカーではない'
ハッキングはただの手段でしかない、と言い放った彼に、僕は焦燥に駆られていた。
タブレットを購入した高崎は満面の笑みを浮かべている。軽く足を弾ませる姿は、成人男性とは思えないほどだ。
そして、今。
二人でカフェスペースに来ている。
運ばれてきた珈琲を口に含み、ひと息吐いた。
「確認なんだけど」
鋭くなる眼光。
高崎は自分の胸ポケットを数回、指で叩いた。
盗聴器のことを聞いているのだろう。
「今日はされてませんよ」
せっかくの好機。
盗聴器ごときに邪魔されるわけにはいかない。
安心したのか、高崎の表情が和らいだ。
緩慢とした空気が流れる。
引き戻すように、高崎を見つめた。
「貴方は僕を知っていますね」
思った以上に低い声が出た。
空気が張り詰める。
肯定も否定もしない高崎は、その空気さえも楽しむかのように片頬を上げた。
「俺について、何処まで解りましたか?」
弾んだ声音に、小さく息を吐き出した。
「君は僕がNOCだと知っている。・・・僕の本名が降谷零であることも。バーボンという名前を持っていることも」
・・・そして、何らかの形で高崎は黒の組織と繋がっている。
「警視庁に簡単に潜れるくらいだ。君なら警察庁にあるNOCリストを盗み見ることだって容易でしょう」
違いますか?と視線で問えば、高崎は嬉しそうに笑った。
「その通りですよ。俺はNOCリストの存在、中身を知っている」
見透かすような紅い瞳。
高崎は妖艶な笑みを浮かべた。
「・・・貴方が警察庁警備局警備企画課ーー通称'ゼロ'の所属だということも」
殴られたような衝撃が脳に響く。
「っ、ハッキングは手段だと言ったな」
仕掛ける人間の特徴は二種類。
自分の欲を満たす為だけに仕掛ける者と情報を売る為に仕掛ける者。
恐らく彼は前者だ。
そうでなければ、今頃僕は組織にNOCだとバレている。
問題は彼の本懐。
'エンジェル'
ベルモットが蘭さんに付けた呼称。
知っているということは、高崎は確実にベルモットと繋がっている。
何故、僕の正体を明かそうとしない?
一体どこまで組織に食い込んでいる?
君は僕の'敵'なのか?
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作者名:鐘稀 | 作成日時:2019年11月2日 21時