形を持った愛のプレゼント ページ48
Sside
今日は俺の誕生日。
日付が変わった瞬間に智くんに「おめでとう」と言われて、メンバーからもメールがきて、凄く何かに満たされた気持ちで眠りについた。
目が覚めた後は普通にお仕事に行って、そこでもスタッフの皆さんに祝って貰って...35回目の誕生日なのに嬉しくてお花畑にいるかのようにフワフワしてたのが分かる。
最後の仕事を終えて誕生日のうちに家に帰ることが出来たのも一つの喜びになっていた。
なのに、そこで気づいた。
智くんがいないことに...
今日は俺より早く帰るって言ってたから、てっきり待ってくれてるんだと思ったのに、家に入れば暗闇が俺を包むだけで智くんがいる気配はしない。
仕事が押してるのか分からないけど、今までの幸せな感情が一気に冷えていくのを感じて、どうしようもない孤独感にかられる。
それでも立ち尽くしたままじゃダメだと自分に言い聞かせリビングまで歩を進めれば、月明かりに照らされて光る鍵が目に入った。
ダイニングテーブルの上にあるそれを見ると智くんのアトリエの鍵で、傍にあったメモには俺宛のメッセージだと思われるものが書かれてある。
メモを見た瞬間、気づけば俺は元来た道を全て引き返すような勢いで家を飛び出し、メモが示す場所へと全速力で走っていた。
息も絶え絶えに、着いたアトリエの扉に鍵を差し込み回せばガチャンと音が鳴ってドアが開く。
靴を脱ぎ奥の部屋を目指すと、そこには布に隠された大きな1枚の絵がひっそりと立て掛けられていた。
ドクドクと鳴り響く心臓の音を感じながら震える手で白い布を取り払うと、目に映ったなんとも言えない光景に視界が滲むのが分かる。
広いキャンバスの中心に彩られたソレは、世界中のどんなものよりも綺麗で、力が抜けてしゃがみこんでしまった俺を温かく包んでくれてるような気さえした。
さっきまで描いていたのか乾ききっていない赤の絵の具も、右下に書かれたサインも、全て俺の涙腺を壊すのには十分で、こんなサプライズを仕掛けた本人をどうしても今抱きしめたくなった。
でもきっと彼は今頃家にいるんだろう。
俺がアトリエに来た道とは違うルートで帰って、これから家に戻る俺にもう1度「おめでとう」と言ってくれるんだろうな。根拠はないけどそんな気がする。
帰ろう、彼が待つ家に。
この絵は大きすぎるから今度彼を誘って2人で持って帰ってこよう。
まずは家にいる愛しい人に精一杯の「愛してる」を言おう。
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優子 - 読みました。翔ちゃん可愛い~ (2016年8月21日 18時) (レス) id: 236f8458a9 (このIDを非表示/違反報告)
桜羅(プロフ) - 2人の想いをストレートに書いてみました。感動できる作品になったなんて思ってなかったので本当に嬉しいです(*´`)読んで下さり、ありがとうございます! (2016年8月5日 12時) (レス) id: c5686c9e11 (このIDを非表示/違反報告)
ともか(プロフ) - お互いに想い合う二人にグッときました(ρ_;)
上手く甘えられないしょーくん。けっこう頑固な智くん。
想う気持ちは一緒なんですね(ρ_;) (2016年8月4日 23時) (携帯から) (レス) id: 767b8a3402 (このIDを非表示/違反報告)
桜羅(プロフ) - ともかさん» ありがとうございます(*´`)帰ってきて、すぐさま更新しますね!行ってきます(`・ω・)ゞ (2016年7月30日 12時) (レス) id: c5686c9e11 (このIDを非表示/違反報告)
ともか(プロフ) - いってらっしゃいませ(o^∀^o)
また更新されるのを待ってますね(o^∀^o) (2016年7月30日 12時) (携帯から) (レス) id: 767b8a3402 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:haruru | 作成日時:2016年7月6日 18時