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『ありがとう、また無茶をさせちゃったね』
私をじっと見つめる西洋龍はゆっくりと瞬きをした
あか「ツンデレ…」
あお「普通に話せばいいのにねー!」
『あおあか、いじめないの!』
ケラケラと楽しそうに笑うあおあかを咎めると、ピタリと私の頬に西洋龍の頬が当たった
ひんやりと冷たい。でもどこか懐かしくて安心する
「姉さま、今幸せですか?」
どこか泣きそうな声の優しくて懐かしい声
『幸せだよ。貴方のおかげですっごい幸せ』
「良かった…堕ちたかいがある……」
『……それに関しては私が足を引っ張ってる感じがするんだよね………だって、私のことさえ気にしなければ、ちゃんと龍神の元に行けたって』
「私の中の神は、龍神でも母様でも家の人間でもない。姉さま、1人だけなのです。あなたが幸せに、楽しく過ごせるのなら、この身なんでどうでもいいんです」
抱きつくように羽で私を包む彼女
『そんな事言わないで…私の幸せの中にはあなたもいるの。いくら堕ちようと私の大事な妹なことには変わりない』
「私の身体は怒りでできてます。堕ちた時に与えられた名は
『なら、私が新しい名をつける!さすがに師匠の上書きなんて出来ないから、仮の名前になるけど…どう?』
くるる、と切なそうな声を上げた彼女は私を傷つけない程度に擦り寄ってきた
優しく頭を撫でるとひんやりとした鱗が心地いい
この子はどれだけ長い間1人で抱え込んできてたんだろう…
純白だった彼女は私のためにここまで黒く染った
自分自身が神様なんて祀られてるけど、私はただの元死神の鬼
願いを叶えることは出来ないけど
どうか、彼女を解放して
『一緒に行こう?』
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作者名:切人(スランプ中…) | 作成日時:2021年8月16日 8時