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師匠…もとい龍神から語られたのは妹の酷く歪んだ愛だった
でもどこか安心するような話で不思議だった
死んでもなお私を守ろうとしてくれてた
そして私は心当たりがあった
見覚えのない不思議な色の西洋龍
いつか私の精神世界にいたあの子だ
あの子は妹だったんだ
「本当は2人とも記憶を消していたはずだった。市丸は上手いこと消せていたが、Aのは消せなかった。挙句にAの精神世界に市丸の記憶を避難させられていたせいで、市丸も記憶を取り戻してしまった。本当にあの子には勝てないな」
『…ちなみに元の世界に戻る方法はあるの?』
「ある。今日はその提案も兼ねてきた」
全員の息を飲む声が聞こえる
心の決まっている私は真っ直ぐ鴉を見つめる
「俺の力を使えば元に戻れる。しかし、ここはA達が来たことで、予想外なことが多く起きているはずだ。A達が来なければ死んでいたもの、失っていたものは、A達が帰れば消えてしまう。さてどうするA」
私に託された選択
私が戻れば間違いなく鬼達と鬼殺隊の戦いが始まる
そうなればここにいる柱の命も危ない
せっかく結ばった二人もいるのに…
『私の心は決まってるんだ、師匠。私、ここに残るよ。一護たちだけ元に戻せば師匠的にはいいわけでしょ?』
「まあね。向こうの世界に藍染が戻った以上、藍染を止められる誰かが必要になる。黒崎一護にはその素質があるからな」
『…ギンはどうする?』
市丸「聞かんでも分かっとるくせに、意地悪やなぁ」
ギンは私の手を握ると師匠を見た
市丸「このままAはもろてくで。ええやろ?」
「問題ない。鬼殺隊と鬼はそれでいいか?こいつらは異常分子故、これからの未来何が起きるか想像がつかない」
師匠が隣の御館様を見上げると、御館様はいつも通り穏やかな顔で頷いた
産屋敷「元々未来なんて分からないものだよ」
「分かった。死神側に話をつけてくる。あ、無惨」
鬼舞辻「なんだ」
「Aとギンを頼んだぞ」
鬼舞辻「誰に命令している」
「おーこわ…じゃあお先」
バサッ、と翼を広げて去っていった師匠
目で追うと既に師匠の姿はなかった
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作者名:切人(スランプ中…) | 作成日時:2021年8月16日 8時