鬼は切れません！！！漆 (ページ19)

今日:9 hit、昨日:41 hit、合計:14,180 hit

19 ページ19

落下するギンを空中で受け止め、そのまま木に寄りかからせる

どくどくと溢れてくる朱に、顔が青ざめる感覚がする

うっすらと開いた赤い瞳には辛うじて光が映っていた

『ギン、もう休んでて。絶対、助ける』

ギン｢無茶は…あかんよ……｣

『もう二度と同じことは繰り返さない』

痛い

痛い

外傷の痛むことの無いこの体が痛みを感じている

痛くて、呼吸が苦しい

目の奥と鼻の奥が熱くて痛い

ギンを2度も刺した藍染惣右介を見ると、頭痛と吐き気がする

『確実に殺す…』

日輪刀を1度戻して、紫龍を構える手に力を込める

『卍解蒼朱双龍』

二振りの短刀が手元に現れると同時に、全身を鱗が覆う

龍の力のおかげで呼吸も安定する

飛びかかろうと足を踏み出すと、途端に脳内に声が響いた

ーそのまま行ったらまたこの前の繰り返しだよ

そうだった。前も…

ー私に任せて

誰…

聞いたことのある声…

心が落ち着く、優しい声

体が促されるがまま真の卍解を行う

『私を喰らえ紫龍』

紫色に怪しく輝く太刀を力強く握りしめると逆の手で日輪刀を引き抜く

『龍の呼吸拾ノ型憤怒ノ龍(ニーズヘッグ)』

紫龍の時とは違う、紫色のような、黒のような、暗い色の鱗が全身を覆う

歪な翼が私を加速させ、藍染の目の前まで一瞬で飛びあがった

ギンのおかげでだいぶダメージの入っている首に、思いっきり刀を振るうとあっさりと首が飛んだ

『ｯ…なんなの…』

藍染｢ははっ、その体は結構気に入っていたんだがな…｣

違うところから声がして慌てて振り返ると、背後から藍染が現れた

白目と黒目が反転し、化け物のような姿になった藍染

胸元はぽっかりと穴が開き、虚ろが漂っていた

蝶のような、蛾のような白い翼は私とは正反対

『なんで…』

藍染｢私は血鬼術をみにつけた。それも2つだ｣

『は…？』

藍染｢ひとつは寄生。自らが作った鬼に寄生する事が出来る。寄生さえしてしまえば、姿は幾らでもいじれる。2つ目は、私の名を呼ぶことで鬼達を殺すことが出来る。君達に情報が漏れ出すのが嫌だったからね｣

『それをなぜ今私に公開する』

藍染｢私は君を鬼にしたい。私は無限に生きることが出来る。鬼だが、首を斬られて終わりではない。核さえ壊されなければ、この世界で永遠に生きることが出来る存在になる。そこで転がっているような、無能な蛇とは違ってね｣

『……………………』