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「A、」
『なぁに』
「生前葬ってさぁ、スパチャ投げれるらしいよ」
『姉貴、お金溜まってたもんね。投げたいの?』
「…最期だし、1万円投げてもいいかな」
『好きにして、もう。』
起き上がることが出来なくなってた。
寝たきりで、今までは病室にあるソファーの上で丸くなって配信見てたり、してたのに。体が起き上がらなくなってた。
「投げた!嬉しい。最初で最期の、スパチャだね。」
『黛サン、みてくれたらうれしいね。』
"もう、明日は死んでるかもしれないから、今日まで一緒に生きてくれてありがとう。大好きだぞ、黛灰。"
『ごめん、おれしごと』
「ああ、行かなきゃだよね?ごめんね、タブレット返さなきゃ」
『ううん、持ってて。バレないようにね』
「ほんと!?ありがとう、A。お仕事頑張ってね!」
『うん、がんばるよ』
最期くらい、ね。
その日、仕事が終わってそのまま病室に行った。
最後の配信があるらしい。それを、見届けたい、からって。
ずっと起きてたのかな、初めての徹夜だね。オールしたんだ?かっこいいじゃん、最後まで黛サンを追って、凄いよ。
ああ、ぼく、今女物の香水臭くないかな。
ホストだって、バレたくなかったんだけどな。
『あねき、』
「…やっぱ、うけとめきれなかったや!」
いつも笑ってる姉貴が、涙を見せた。
涙を見せたのは、これが2回目。
黛サンは、本当に自分の中で人生の1部だったんだろうな。
『いいよ、もう。』
「もう、もうだいすきなの、大好きなのに、苦しいの、」
『良かったね、最後まで、だいすきなひとを、見届けれて。』
「Aも、このいっかげつ、ありがとう。わがまま、聞いてくれて。Aも、愛してるよ。ずっと。私の為に、嫌な思いしてまで仕事してくれてたんだよね、隠さなくてよかったのに、でも、誰よりも私はAのことを愛してる。ずっとずっと、ね。」
その言葉を最期に、息を引き取った。
ぼくの、姉貴は2022年、7月29日に、眠りについた。
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るとは(プロフ) - めっちゃ泣いた……ありがとう…… (2022年8月12日 22時) (レス) @page35 id: 1436e1e655 (このIDを非表示/違反報告)
ゆき - オウッ泣いた……泣かせてもらいました。本当にありがとうございます……!! (2022年8月11日 2時) (レス) @page35 id: 87b04c2d83 (このIDを非表示/違反報告)
深海可楽(プロフ) - 泣いた、、、 (2022年8月9日 17時) (レス) @page35 id: 54fac7d03d (このIDを非表示/違反報告)
えふ(プロフ) - ありがとうございました。 (2022年8月4日 22時) (レス) @page32 id: 77e2751e24 (このIDを非表示/違反報告)
狐兎 - いやぁ…自分と同じような状況だからこそ夢主さんの気持ちが良く伝わりました…!(>.<)y-~更新はゆっくりでいいので待ってます(o^-')b ! (2022年8月4日 4時) (レス) @page21 id: 9d935a3845 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:キラ | 作成日時:2022年7月31日 3時